書評ブログ

M.E.ポーター『競争優位の戦略』(ダイヤモンド社)

M.E.ポーターは経営戦略理論における代表的な学者であり、ポジショニング派と呼ばれる戦略理論を構築した功労者だ。米国ハーバード大学で経営学修士、その後同大学大学院にて経営学ではなく経済学博士を取得した。

 

1980年に発表した『競争の戦略』が学会に大きな影響を与え、1982年にハーバード大学史上、最年少の正教授となった。本書は、その後1985年に発表した第2弾と呼ぶべきポーターの代表作。

 

経営戦略において、ポジショニングこそが最も大切で、競争力を決定づける要因と主張する。5フォース分析バリューチェーン分析など、その後の戦略論で欠かすことのできない概念を世に問い、数多くの大企業経営者から絶賛された。

 

昨日紹介した高山信彦氏の『経営学を「使える武器」にする』(新潮社)では、研修の必修テキストとして、この『競争優位の戦略』が挙げられている。この本は、とにかく難解で厚くてボリュームも大きいため、読み込むのは並大抵ではない。ただ、それだけに時代を超えて、地域や業種を超えて通用する普遍的な経営理論と言える。

 

「ポーターの戦略論はもう古い。」などど、したり顔で話すビジネスマンもいるが、本書が持つ「古典」としての奥深さが全く読み取れていないと言うべきだろう。ポーターは、今もハーバード大学の終身名誉教授として、最新の経営理論にも大きな影響を与え続けている。最近では、CSV (Creating Shared Value)という概念 (共有価値の創造という考え方)を発表している。

 

経営を学ぶのであればポーターの代表作である本書は外せない。経営戦略論の古典的名著として強く薦めたい。