書評ブログ

『限界のタワーマンション』

「分譲タワーマンションの建造は、日本人の犯している現在進行形の巨大な過ちである」と述べて、2000年以降の日本で乱立している、住まいとしてのタワマンを徹底検証している本があります。

 

 

本日紹介するのは、一昨日および昨日に続いて、同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部を卒業し、マンションの広告制作販売戦略立案などを手がけ、現在は一般ユーザーを対象にした住宅購入セミナーを開催するほか、新聞や雑誌に多くの記事を執筆する住宅ジャーナリスト榊淳司さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

榊淳司『限界のタワーマンション』(集英社新書)

 

 

この本は、この道30年以上になる住宅ジャーナリストが、住環境、健康、子どもの育ちへの影響など多角的な視点からタワーマンションを分析・考察し、あらゆる点から「タワーマンションが限界にきている」ことを論じている書です。

 

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

 

1.はじめに-タワーマンションの寿命は30年で尽きる

 

2.タワーマンションが大好きな日本人

 

3.迷惑施設化するタワーマンション

 

4.タワーマンション大規模修繕時代

 

 

5.災害に弱いタワーマンション

 

6.タワーマンションで子育てをするリスク

 

7.それでもタワーマンションに住みますか?

 

8.おわりに

 

 

 

この本の冒頭で著者は、「タワーマンションはその建築構造上の宿命として高額な保全費用がかかる。」と指摘しています。

 

 

タワマンの保全に必要な修繕費は、通常の20階未満の「板状型」マンションの2倍以上と言われています。しかもタワーマンションは、外壁の修繕工事を行わなければ雨漏りが発生しやすい構造になっている、と著者は述べています。

 

 

 

そのほか、タワーマンションについては、以下のような「不都合な現実」があり、築30年以上の資産価値について、この本では大きな疑問を呈しています。

 

 

◆ 大規模修繕に大きなコストがかかり、しかも回数を重ねるごとに増加する

 

◆ 災害時に停電した際、高層階ほど身動きが取れなくなるリスクが大きい

 

◆ 子育て環境面で、外出の機会が減ることで、学力や対人関係に問題が出るという調査も

 

◆ 階層ヒエラルキーという住民間でのいびつな人間関係が起きやすい

 

 

 

◆ タワーマンションが乱立した駅では、異常な通勤ラッシュ地獄になる

 

◆ 高層階はつねに揺れている状態で、健康影響を懸念する調査も

 

◆ 醜悪な建物だとして、近隣から「迷惑施設」と見られる状況も

 

◆「タワマン居住者は見栄が強い人」という決めつけの意識も

 

 

 

本書では、イギリスやオランダなど、海外での「タワーマンションに関する意識調査」も紹介していて、とくにイギリスではチャールズ皇太子が、超高層建築に対して、「醜い」とか「見るに耐えない」といった嫌悪の発言をしていることから、ネガティブなイメージを抱く国民が多いこと述べています。

 

 

 

また他のヨーロッパ諸国でも、「子育て」に関しては、超高層マンションを回避する傾向が見られるそうです。

 

 

 

翻って、日本ではここ20年ほどの間に急激に竣工しているタワーマンションについて、肯定的なイメージを持つ人々が多い。

 

 

 

しかしながら、この本で挙げた「不都合な現実」ゆえ、30年後という節目ではタワマンに「大きな危機」が訪れると著者は警告しています。

 

 

 

「タワマン建設という愚行に終止符を」とまで呼びかける著者の主張を受けて、本書を読んで「タワーマンションの限界」について、あなたも考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!