「多くの産業にいま起きているのは、あらゆるモノやコトに関する情報をデジタルデータ(数字)に置き換え、コンピュータで処理可能なものとする “ デジタライゼーション ” だ。」と指摘し、第4次産業革命と呼ばれる技術革新が、ビジネスモデルを変えたり、人間の業務を奪ったりすることを予測している本があります。
本日紹介するのは、東京大学法学部卒、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)、現在は神戸大学大学院法学研究科教授の大内伸哉さんが書いた、こちらの書籍です。
大内伸哉『会社員が消える 働き方の未来図』(文春新書)
この本は、働き方を変える原動力は技術革新にある、という認識のもとに、雇用社会の未来図を描きながら、AIやロボットがどう社会で活用され、いつ会社員としての働き方には限界が来るのかを予測している書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.大企業がなくなるーモデルチェンジする企業
2.日本型雇用システムの限界ーこれまでの働き方の常識は通用しない
3.働き方の未来予想ー技術を味方につけて自立的に働く
4.新しいセーフティネットー企業に帰属しない働き方へのサポート
5.「時間主権」を取り戻せー人生100年時代に必要なスキルとは
この本の最後で著者は、人類は以下のような社会の変化・進歩を遂げてきたと整理しています。
◆ 狩猟採集生活(Society 1.0): 20万年前~
◆ 農耕生活(Society 2.0): 1万年前~
◆ 工業社会ー第1次産業革命(Society 3.0): 200年前~
◆ 情報社会(Society 4.0): 40~50年前~
◆ 超スマート社会(Society 5.0): 今後
これからの「Society 5.0」は、現実空間のセンサーからの膨大な情報(ビッグデータ)がサイバー空間に集積され、それをAIが解析し、その解析結果が現実空間の人間に様々な形でフィードバックされるようになる、ということです。
こうした変化を正確にとらえるためには、これまでの産業革命を次のように4つのステージで理解する必要があります。
◆ 第1次産業革命: 石炭・蒸気を動力源とした機械をつかった製造業 <18世紀末>
◆ 第2次産業革命: 電気・石油を動力源とした分業に基づく大量生産 <19世紀後半>
◆ 第3次産業革命: オートメーション化のためのITやエレクトロニクスの使用 <1970年代初頭>
◆ 第4次産業革命: サイバーフィジカルシステムの活用(現実空間と仮想空間が融合)<2010年代~>
この第4次産業革命は、デジタライゼーションが高度に発展した社会で、AI、ロボット、I o T という先端技術が、個々の産業部門に固有の技術と融合し、それに関連するビッグデータと掛け合わされることにより、革新的な商品やサービスが生み出されるようになる、と著者は言います。
その代表が、フィンテックと無人自動走行だと本書では述べています。
続いて著者は、次のような変化が今後起きていくと解説しています。
◆ 企業中心社会から個人中心社会へ
◆ 変わる日本型雇用システム
◆ 人材は「つくる」から「買う」へ
◆ プロ人材の活用
◆ 生産性を高めるテレワーク
◆ 健康は先端技術で守る
◆ 人事、人材マッチングにもAIを(HRテック)
◆ 時間主権を取り戻せ
◆ 人生100年時代はパラレルキャリア
◆ 学ぶことと、考える力
この本の最後で著者は、「創造性と進取の気性を忘れた国と国民には未来がない」と述べて、「労働なき社会」となる可能性が高いと解説しています。
そして、AIやロボットといった機械と共存することは、「人間とは何か」を、新たな角度から「考える」きっかけとなり、人間の真の幸福は「考える」ことだとする「哲学の時代」が来ると予測しています。
あなたも本書を読んで、「会社員が消える」働き方の未来図を学んでみませんか。
2020年11月22日に、大杉潤のYouTubeビジネススクール【第166回】会社員が消える「働き方の未来図」にて紹介しています。
速読法・多読法が身につくレポート 『年間300冊ビジネス書速読法「7つのポイント」』 (定価 9,990円)を、こちらのサイトにて販売しています。
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では、今日もハッピーな1日を!