「批判なき社会、批判なき世界に明日はない、発展はない」と提唱しているラジオ番組を機に企画され、制作された対談集の本があります。
本日紹介するのは、元・文部科学事務次官で現代教育行政研究会代表の前川喜平さんと、大阪国際大学准教授で全日本おばちゃん党代表代行の谷口真由美さんが書いた、こちらの書籍です。
前川喜平・谷口真由美『ハッキリ言わせていただきます!』(集英社)
この本は、「政治、教育、社会・・・・おかしなことが多すぎませんか?」と問いかけ、大阪のおばちゃんと奈良のおっっちゃんが激アツトークで「黙って見過ごすわけにはいかない日本の問題」を語り尽くしている書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.「お上意識」が日本をダメにする
2.ヤンキーとカオスとラグビーで批判力を磨く
3.教育が直面している厳しい現実
4.政治が直面している厳しい現実
5.憲法が想定した人間を目指す
6.批判に疲れた人たちへ
この本の冒頭で著者は、「白か黒、右か左、マルカバツなど二者択一を迫る傾向が強まっています。」と指摘し、「社会の大半はグレーで、真っ黒も真っ白もほぼありません。」と述べています。
そういう意味で「批判の作法」を身につけることは重要で、「民主主義に疲れた」と感じる人々が多い中で、「批判は社会の本質を見極める力」であることを、本書を通して著者の二人は訴えています。
まず「批判のお作法」として著者の谷口さんは、以下の5つを挙げています。
◆ 批判されてもキレない
◆ 批判は「事象」「事柄」「発言」などについてすべし(人間性への攻撃はNG)
◆ 批判は「事実」に基づいてすべし(根拠が思い込みや固定観念はNG)
◆ 批判は「愛」が必要、その先に「よりよくなる〇〇」
◆ 批判には「責任」がともなう
そうした姿勢において、「日本の問題」として、著者ふたりの対談では、次のようなポイントを指摘しています。
◆ 日本の危うさを救うのは「教育」の力
◆ 市民革命を経験していないから日本人は社会をつくっているという意識がない
◆ 大西鐡之祐の名言「君たちはなぜ、ラグビーをするのか、戦争をしないためだ」
◆ 「残業のススメ」は残業が当たり前の先生による子どもたちへの虐待の連鎖
◆ 先生が考えることを放棄したら、子どもたちが考えるわけがない
◆ 徐々に大人になる体験をしていない日本の子どもたち
◆ 誰もが経済的負担なく学べるようにすべき
◆ 学校はオープンスペースがいい
◆ 国会議員には憲法の試験を義務付けたい
◆ 教育の基本は「憲法」
◆ すべての国民が「学問の自由」を持っている
◆ 批判しても変わらない社会への疲労感
◆ 社会にもある「10歳の壁」
◆ 「考える」「思考する」ことを学ばなければならない
◆ 自分一人の力がムダだと思う必要はない
この本は「分かりやすくというのは大事だ」と言いながらも、一方で「分かりやすくし過ぎるのも問題」と指摘していて、バカのままでいてはいけないと警鐘を鳴らしています。
気づかないで日々を過ごしていることに対する危機感を、健全な批判という精神で、冷静に対談が進められていて、傾聴すべきポイントが多く、お薦めの一冊です。
あなたも本書を読んで、「批判の作法」を学び、黙って見過ごすわけにはいかない「日本の問題」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!