戸田智弘氏は、1960年愛知県生まれで、北海道大学工学部、法政大学社会学部を卒業し、古河電気工業でサラリーマンを経験した。
その後、編集の仕事などを経て、日本福祉大学助教を務める。本書は以前、紹介した戸田智弘著『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論』および『続・働く理由 99の至言に学ぶジンセイ論』(いずれもディスカヴァー21)の続編だ。
まず冒頭には、著者自身のこれまでの学んできた経験が記され、学び続けることの大切さを説いている。とくに、学びの手段として「読書」を採り上げていて、私には共感できる部分が多い。
シリーズ前作、前々作と同様に、紹介されている名言は99に及び、いずれも心に刻みたい言葉ばかりだ。大きな構成としては、次の11に分類されている。
1.なぜ、一生学び続けるのか
2.学習時間を作り出す
3.学習方法のポイントを知る
4.学習意欲を高めるには
5.読書の三つの機能
6.何をどう読むか?
7.文章を書くということ
8.分かりやすい文章を書くコツ
9.数学を学ぶ意欲
10.教える技術と精神
11.なぜ人は学ぶのか?
では、とくに私にとって印象深い名言を以下に紹介したい。
1.学習とは、量と質である (心理学者 市川伸一)
2.はじめは人が習慣をつくり、それから習慣が人をつくる (詩人 ドライデン)
3.時間を見つけるなんてできない、時間が欲しければつくることだ (作家 チャールズ・バクストン)
4.われわれは短い時間をもっているのではなく、実はその多くを浪費しているのである (ローマ帝国の哲学者 セネカ)
5.人生は十分に長く、その全体が有効に費やされるならば、最も偉大なことをも完成できるほど豊富に与えられている (同上)
6.知は力なり (哲学者 フランシス・ベーコン)
7.記憶は入力ではなく、出力をベースとして考えた方がいい (医学博士 築山節)
8.「2つ以上の科目を並行して勉強する」 とやる気が継続する (予備校経営 松原一樹)
9.学べば学ぶほど、私は何も知らないことがわかる (理論物理学者 アインシュタイン)
10.自分が無知であると知れば知るほど、私はより一層学びたくなる (同上)
11.一瞬のヤル気なら誰でももてる、けれども持続性のあるヤル気は深く認識した者にだけ宿るのである (元プロ野球監督 野村克也)
12.「最高の勉強仲間」 は、「最強の勉強ツール」 (精神科医 和田秀樹)
13.どのようなものであれ、良書を読むことは、その著者である過去の時代のもっとも優れた人たちと会話を交わすようなものである (哲学者 デカルト)
14.100冊の本を読むことは、100人分の豊かな人生経験と知識を自分にインストールするのと同じと言っても良いでしょう (予備校講師 吉岡友治)
15.愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ (ドイツ初代宰相 ビスマルク)
本書は、人生で学び続けることの大切さが身に染みてわかる本だ。ぜひ多くの方々に本書の一読を薦めたい。