昨日の「出版DAF2」レポート <その1>に続き、「出版DAF2」後半に登壇した出演者7名のスピーチおよびエンディングのレポートをお届けします。
まず、Bブロック後半として、次の3名が登場しました。
◆ 久禮 亮太(久禮書店、ブリーランス書店員)
◆ 小谷 俊介(実務教育出版・編集者)
◆ 伊藤 直樹(KAD●KAWA・編集者)
最初に登場したのは、久禮書店をはじめ、フリーランス書店員として、多くの書店の棚づくりや、コンサルティングも行う久禮 亮太さん。
スピーチのテーマは「本屋は、売上スリップの束の中に “ 生身の読者 ” を発見する。」です。
書店の経営や書店員の思いは、スリップの束を見ることで、お客さまの実像に迫りたい、お客さまの切実なニーズを見逃さない、ということ。
大手書店が参考にするPOSデータは、過去の結果でしかない。リアル店舗の書店員としては、棚とスリップを通してお客さまとコミュニケーションすることを大切にしています。
そうした本のスリップに込めた思いを描いたのが、久禮 亮太さんが書いた『スリップの技法』(苦楽堂)です。
続いて、最も堅くて保守的な出版社だという実務教育出版・編集者の小谷俊介さん。
お話のテーマは「人生100年時代に出版するなら『あの人』に学べ」です。
まず最初に、「著者は金を使え」ということに対して、「編集者もお金を投資せよ」ということで、つい先ほど、自らも時計を買って時間管理をしていることを披露します。
小谷さんがあげる、学ぶべき「あの人」とは、ズバリ、メンタリストのDaiGoさん。
実務教育出版で、ほかの編集者が担当した『週40時間の自由をつくる 超時間術』(DaiGo著・実務教育出版)は、ベストセラーだそうです。
小谷さんが分析する「売れる理由」は、以下の3点。第1に、最強の肩書き「メンタリスト」。何をしている人かがイメージできて、他にはいない肩書なので目立ちます。「自分にタグをつけること」が重要。
第2の理由は、メンタル(=人間心理)は、水平展開できること。DaiGoさんの場合は実際に、時間術、恋愛、子育てなど、次々に水平展開した本を出し、企業へのビジネス・コンサルティングにも繋げています。
第3番目に、目次とはじめにで、読者を一気に惹きつける構成を見せていること。さすがに「人間心理」の専門家で、読者の悩みや不安に答えますよ、という布石になっています。
続けて、KAD●KAWA・編集者の伊藤直樹さん。テーマは「1人で神になる時代から皆で神をつくる時代へ」。
伊藤さんは今や、楽しみながら本を作って売れるようになった、と言います。
現在は「企画書を通して本を出す時代」ではないそうです。得意な人と組む、トライブ(集合体・部族・共同体)でファンづくりを進めていくのです。
出版トライブという形で、2~3年後に成功しそうな人と今、組むことが重要です。オンラインサロンやSNSの活用が大切でしょう。
伊藤さんが編集した作品で、『パブリックスピーキング 最強の教科書』(小山竜央著・KADOKAWA)の紹介がありました。
著者の小山さんのセミナーに、私もかつて参加したことがありますが、小さな体で堂々と話し、迫力あるスピーチは印象に残りました。さらに、低コストのITツールを使いこなして集客に抜群の効果を出すノウハウを開示している書です。
小山さんの38万円の高額セミナーの内容を公開して本にしたもので、大きな価値がある、ということです。
この後、緊急の仕事のために退出された久禮さんを除く2人が再度登場して、質疑応答に入ります。
本業をどこまで極めれば本が出版できるか、という質問に対して、やはりツイッターなどSNSで発信を続け、1,000人のフォロワーやファンが必要、という答えです。
また、小谷さんからは、Tシャツによるプロモーションとして、ビジネス数学の専門家・深沢真太郎さんの新刊書籍『論理ガール』(が9月に発売されるとの告知がありました。こちらのTシャツです。
続いて、Cブロック前半は次の2名。
◆ 朝倉 真弓(ブックライター)
◆ 渡辺 絵里奈(ライター/編集者/プロデューサー)
最初の朝倉さんは、私にDAFというイベントを伝えてくれた著者仲間です。スピーチのテーマは「ブックライターという仕事」について。
通常、ブックライターは著者に3~4時間のインタビューを4~5回行って、1冊の本にするそうです。
著者が言いたくないことを聞き出したり、敢えて「地雷を踏みに行く」ような質問をして、掘り下げた考えや本音を聞くことで、原稿にした時に、その行間に滲み出てくるものがある、と言います。
次に、ライターの渡辺絵里奈さん。テーマは「自著を再考のセルフブランディングツールにするために」
セルフブランディングを行う際のポイントは以下の通り。
◆ 本を出すにはコンテンツが重要
◆ 半実仮想(「私だったらどうする?」「どう書くか?」と自分事として考える
◆ ストーリーを入れて弱者の人生に共感を得る
◆ ドラマ化するように、SNSにて発信する
続いて、2名への質疑応答。ブックライターを使うメリットについて。
自分では気づかなかった「強み」に気づくことができる、というメリットは大きいです。
そしていよいよ最後のCブロック後半で、こちらの2名。
◆ 吉盛 絵里加(新星出版社・編集者)
◆ 桑野 麻衣(著者・研修講師)
まず吉盛さんは、広島で認知心理学を勉強し、理系出身なので、理系の本を担当しています。
テーマは「異業種から来た新人にもできること、編集者に求められるものとは。」
吉盛さんは、編集者になってまだ4ヶ月の新人です。でも書店で6年間バイトをしていたこともあり、「何でこの本が売れるんだろう?」とよく考えていたそうです。
人間には多様性があって、「自分はできる、でも周りの人はできない」ということが求められていて、世の中に需要がある、ということです。
出版社の編集者というのは殆どが文系出身者なので、理系出身者である吉盛さんには、世の中で需要が増えている科学・技術関係など理系の本について、聞かれたり担当したりすることが多く、入社してすぐ「即戦力」となったそうです。
最後に、大トリで、桑野麻衣さんが登場。テーマは「出版デビューで、著者の鏡 と言われた訳」です。
著者は「売れる覚悟」をしなければならない、と提唱しました。
桑野さんは自ら書店回り合計182店舗という記録を今も更新中で、出版社の営業の方より多く書店を回り、ポップを置いてもらった、と言います。
著者によるコミュニケーションという形で、やれることは全部やるという覚悟が滲み出ていたスピーチでした。
桑野さんの結論は、「著者はアイドル」ということ。誰かの夢や想いを乗せているのです。回りの人から「世に出てほしい」と思われ、応援されなければならないのです。
ふたりのスピーチ終了後に、質疑応答。
SNSの使い方や、執筆と本業の事業との両立について質問があり、ある程度、籠って執筆することも必要、という答えでした。
桑野さんは、執筆期間中は10:00~22:00の1日中、カフェに籠って、トイレも我慢して執筆に集中して書き上げるそうです。
そのままエンディングに移行し、再び、出演者全員の登壇とご挨拶です。
記念撮影も行いました。
最後に、DAF恒例の「締め」をやって終了となりました。
出版社の編集者、書店員、ライター、著者など、出版に関わるプロフェッショナルな人たちの本音を直接聞いて、いま出版業界で求められていることがリアルタイムで分かる、ほんとうに中身の濃いイベントです。
さらに、休憩の交流タイムや終了後には、名刺交換など出版関係者と直接、話をして質問もできる貴重な時間を持つことができます。
前半をレポートした「出版DAF2」レポート <その1>は、こちらのリンクからどうぞ!
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では、今日もハッピーな1日を