本日は、5冊目のジョン・キム氏の著作紹介で、最新刊の作品だ。キム氏は10年間勤務した慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授の職を辞し、現在はパリやバルセロナに住んで執筆活動を中心とした生活を送っている。
日本において社会人版キム・ゼミを開催し、人気を博している。本書は、その社会人向けキム・ゼミの講義内容を再構成したもので、前作までの自分らしい人生の送り方に関するメッセージが新たな視点から書かれている。
キム氏によれば、人生の景色を変える鍵は自分の「中」にしかない。我々は「外」を変えることはできない、重要なのは内面の気づきだということだ。
結論から言えば、人生を変えることは難しいことでも何でもない。必要なのは、少しばかりの勇気と、ほんのちょっとした視点の転換だ。
日常の景色を変えたいときには、外の景色を変えるのではなく、自分の目線を変えるのだ。もし、あなたに良く見えている世界が、理想とする世界でなければ、それはあなた自身に問題がある。
人生はとても長く、そして一方でとても短いものだ、とキム氏は言う。世界を変える鍵となる、自分の「中」すなわち内部の視点が大切で、それを本書では以下の8つの視点として提供している。
1.感情力
2.解釈力
3.感受力
4.対話力
5.人脈力
6.時間力
7.読書力
8.選択力
キム氏が唱える最終ゴールは、「絶対不可侵の自己」を確立することだ。成功とは何か、幸福とは何か、を自分の言葉で定義し、それに向けて日常を組み立てて行くことだ。
一瞬たりとも「人生の指揮権」を手放すことなく、自分自身と自分の愛する人たちを最後まで守り抜く強さを身に付けて行くことがゴールだ。
それでは、本書においても、私の心に残ったキム氏による珠玉の言葉の数々を以下に紹介しよう。
1.世の中にはさまざまな理不尽が存在する、大事なことは自分を大きくすること、相手に力を与えないこと
2.悪意にも1%の真実が隠されている
3.悩みは概念化、抽象化することで手放せる
4.人間の命は、死ぬまでの借り物に過ぎない
5.人生は、いかに軌道修正を図れるか、が問われている
6.人間は、裏では感情9割、りせい1割で動く、相手を理屈だけで納得させようとしてもうまくいかない
7.絶対的な真実などそもそもない、起きている事象は角度によってまったく違った顔を見せる
8.聴くことは観察すること、語ることは観察されること
9.300ページを1ページに要約し、それをワンフレーズに凝縮して表現する、これが物事を本質的に理解することだ
10.議論するに値しない人とはぶつからない
11.あえて語らないことも対話力の一つ
12.本当の強さを手に入れなければ、自然体にはなれない
13.伝えたかどうかではなく、伝わったかどうか
14.体験は大事だが、体験しなければ学べない人間は愚かである
15.我々は本も読めるし思索もできる、想像力という武器を使って他者の経験から学びのできる人を目指せ
16.何をするかが重要なのではない、どんな心構えで時間を過ごしているかが重要なのだ
17.自分の時間を配分することは、自分の命を配分することと同じだ
18.やめる、捨てる、断る、離れる勇気を持つ
19.本を読むことは自分への投資である、だから読むべき本は厳しく選ばれなければならない
20.選びに選んで買った本の中から最後まで読むに値した本は人生の宝物である
21.人は選択を通じて人生をいつでも軌道修正できる
22.結果ではなく、最善を尽くすことを目標にする
23.人生の選択は3つの選択基準をチェックせよ、主体性・責任感・使命感の3つだ
24.愚かな一貫性より、懸命な柔軟性が求められる場面が、人生にはたくさんある
25.人生の醍醐味は正解を自分で決めることにある
26.自分の信念を貫いた非常識ほど美しいものはない
27.自分の人生は、誰にも侵すことのできない、絶対不可侵のものだ
28.人間は、人に教えるときにこそ、成長する
29.人生の目的は何か、と問われたら、自分の精神性を高める事、と私は答える
30.幸せは外にはない、自分の中にしか、見つけることはできない
本書によって、自分らしく生きたい、自分が主役の人生を送りたい、と悩み考えている人は、多くの示唆と勇気をもらえるだろう。本書を心から推薦したい。