竹田恒泰氏は、旧皇族竹田家に生まれ、慶應義塾大学法学部を卒業し、作家として活躍する。専門は憲法学・史学だ。
本書は、世の中に溢れる成功哲学を読んでも腑に落ちない人々に向けて書かれた本だ。ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』(きこ書房)に代表される成功哲学の本は、すべて「西洋式成功哲学」を基本に書かれている。
これらの本は、キリスト教の信仰を背景に、西洋式の哲学、人生観が基礎にあり、日本人のメンタリティとは必ずしも一致しない。例えば、ナポレオン・ヒルは、「巨富を築くために」という6ヶ条を挙げ、金持ちになることを成功と位置づけている。
それに対して、日本の場合は、自分の人生は「他者から預かったもの」であり、人は生きているのではなく、生かされていると考える。したがって、世のため人のための生きることこそ幸せであり、成功ということになる。
それでは、竹田恒泰氏が提唱する、日本人に合った一生使える勉強法の根幹になる考え方を以下に整理して示そう。
1.人は必ず死ぬが、いつ死ぬかは誰にも分からない。
2.人生の最期をどのように迎えたいか、どんな日々を積み上げればよいか、死生観を持って生きることが大切だ。
3.西洋人は1ヶ月間のバカンスのため11ヶ月間の労働(罰)に耐え、日本人は日々働くことを楽しむ。
4.夢を持ってもよいが、安易に固定するな。夢は移り変わりもので、縛られないことが大切だ。
5.マイナス思考で最悪の状態を想定し、それを受け入れる覚悟ができたら迷うこちなく挑戦すべし。
6.自分を磨いて自分を高めるのが学問だ。脳がちぎれるほど考えよ。
7.勉強をする人ほど人生の可能性が広がる。
8.緊急ではないが重要なことの代表が勉強だ。
9.タイムマネジメントの極意は 「何をやるか」 ではなく、「何をやらないか」 だ。
10.一つのテーマは400時間の学習でものになる。
11.「勉強するほど無知になっていく」 と思えたら本物の勉強をしている証拠。
12.本ほど良質な情報が詰まった媒体はない。
13.本を読めば人生得をする。本を読まなければ人生大損をする。
14.新聞を読むなら一紙より二紙がいい。
15.国立国会図書館の検索システムと複写サービスを利用しない手はない。
16.コミュニケーション力とは、意味を的確につかみ、感情を理解し合う力のことだ。
17.1000から10を語るようになれ。
18.笑いはコミュニケーションを円滑にする。
19.強力な人脈を築くには、「話の入り口と出口」 を間違えてはいけない。
20.生きるために仕事をしているのではない。仕事をするために生きているのだ。
これまでの成功哲学本や勉強法とは180度違う主張もある。日本人の「和の精神」は、今や欧米人や中国人の憧れであり、日本的な経営手法が改めて見直されている。
これまでの成功哲学本や自己啓発本では、上手くいかなかった全ての人々に本書を推薦したい。