「現代の日本社会は、もはや格差社会などという生ぬるい言葉で形容すべきものではない。それは明らかに、階級社会なのである。」と説いている本があります。
本日紹介するのは、早稲田大学人間科学学術院教授で理論社会学を専門とする橋本健二さんが書いた、こちらの書籍です。
橋本健二『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)
この本は、SSM調査データをはじめ、さまざまな社会調査データを用いて、階級・階層研究を専門とする社会学者の研究グループによる10年ごとの調査をベースに考察されたものです。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.分解した「中流」
2.現代日本の階級構造
3.アンダークラスと新しい階級社会
4.階級は固定化している
5.女たちの階級社会
6.格差をめぐる対立の構図
7.より平等な社会を
この本の冒頭で著者は、以前はある程度まで現実のものだった「中流意識」が、格差の拡大とともに分解し、豊かな人々は自分を豊かだと感じ、貧しい人々は自分を貧しいと考えるようになり、人々の意識が格差の構造に沿ってくきり分かれるようになってきたことを明らかにする、と述べています。
そして、この傾向は、格差拡大肯定・容認論が拡がってくる中で出てきていて、その背景となるのが「自己責任論」です。
しかもその「自己責任論」は低所得層にまで浸透していることが各種調査やその分析結果から分かっている、と本書では解説しています。
次に、現代日本の階級構造として、以下の「5つの階級構造」になっていると指摘しています。
1.資本家階級(254万人、4.1%)
2.新中間階級(1285万人、20.6%)
3.正規労働者(2192万人、35.1%)
4.アンダークラス(929万人、14.9%)
5.旧中間階級(806万人、12.9%)
かつての日本は、5番目の「旧中間階級」が、農業など自営業者や家族従業者として最大の階級でしたが、産業構造が変化するに伴い、人数が縮小してきました。
こうした「階級構造」は、時代とともに大きな変遷していて、その推移についても本の中で紹介されています。
近年、クローズアップされているのが、4番目のアンダークラスで、女性比率が最も高い階級です。
職種としては、男性はマニュアル職が57.9%、残りはサービスと販売が多い、と言います。一方女性は、事務・販売・サービス・マニュアルがほぼ四分の一ずつです。
具体的には、販売店員、総務・企画事務員、料理人、給仕係、清掃員、スーパーなどのレジ係、倉庫夫、営業・販売事務員、介護員・ヘルパーなどです。
この本の後半では、この階級が固定化しつつある現状と、女性の中での階級について分析・解説しています。
詳細についてはぜひ、本書を手に取ってご確認ください。
また、格差についての「対立の構図」や、今後の解決策・処方箋について、著者の考え方を紹介しています。
あなたも本書を読んで、新たな「日本の階級社会」について考察してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を