元プロ野球選手、元高校球児、監督など、関係者の証言を集めて「野球と暴力」という日本球界最大のタブーに迫った本があります。
本日紹介するのは、立教大学野球部4年時に23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験し、大学卒業後に、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経てフリーランスになった、元永知宏さんが書いた、こちらの書籍です。
元永知宏『殴られて野球はうまくなる』(講談社+α 文庫)
この本は、かつて「野球と暴力はとても身近だった」ことについて、いまでも野球と暴力の関係が終わっていないこと、そして暴力なしで野球をうまく、チームを強くする方法はないのか、を探っている書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.野球界が暴力を容認する理由
2.強豪野球部の日常
3.根性をつけるための暴力的な指導
4.元プロ野球選手が語る「暴力」の功罪
5.甲子園常連チームができるまで
6.ラテンアメリカから見た日本野球
7.暴力なしで強くなる方法
この本の冒頭で著者は、暴力には以下のような効能があるため、それを信じている指導者は今も多い、と述べています。
◆ 暴力によって、チームに緊張感が生まれる
◆ 暴力によって、選手が覚醒することがある
◆ 暴力によって、みんなが必死になる
◆ 暴力によって、根性がつく
◆ 暴力によって、うまくなる
◆ 暴力によって、チームが勝てる
しかし時代は変わり、甲子園を目指す高校野球の強豪チームの野球部員が信じてきた、次のようなことは否定されつつある、と著者は言います。
◆ 甲子園に出たければ猛練習するしかない
◆ 勝つためには監督の暴力にも耐えるしかない
◆ 厳しすぎる上下関係も野球部には付きものだ
◆ それらに打ち勝って初めて、勝利をつかむことができる
◆ プロ野球選手だって、殴られながら成長したのだから
ここで言う、プロ野球選手とは、例えば中日ドラゴンズで通算219勝を挙げ、日本プロ野球の最年長勝利記録を持つ山本昌投手が、当時のドラゴンズ監督だった星野仙一さんから、鉄拳制裁を受けたことなどを指しています。
山本昌投手は引退後、「あの理不尽さを乗りこえたから、いまの自分がある」と、星野監督の暴力的な指導の効能を、面白おかしくメディアで語っています。
山本昌投手の場合は、暴力を受けた指導がたまたまいい方向に向かい、長年にわたって一軍の現役投手として活躍できたからよかったものの、そうではなく不幸な野球人生へ向かった数多くの選手がいると、この本では指摘しています。
また、高校野球で甲子園の常勝チームだったPL学園高校の野球部が休部に追い込まれ、日本高野連に脱退届を提出するに至った経緯には、野球部内の暴力事件が無関係ではない、と言われています。
本書では、随所で、野球の指導と暴力が絡み合ってきた事実を明らかにし、そうした中での理不尽さを根絶し、暴力なしの指導法を目指すべきという考え方が滲み出てきます。
著者の本永さんが、立教大学野球部4年の時に23年ぶりで東京六大学リーグ優勝を勝ち取ったのは、まさに暴力や理不尽な上下関係という、悪しき慣例を断ち切ったからこそであると、強い信念を感じることができます。
この本の最後には、明るいラテンアメリカの野球指導も紹介しながら、「暴力なしで強くなる方法」について、著者の考え方を披露しています。
詳細についてはぜひ、本書を手に取ってお読みください。自主的に練習したり、自分で考える野球ができるようになる、とこの本では説明されています。
あなたも本書を読んで、これまで切っても切れない関係にあった「野球と暴力」の関係について、時代に合った考え方を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を