「人生は、青春、朱夏、白秋、玄冬と、4つの季節が巡っていくのが自然の摂理です。玄冬なのに青春のような生き方をしろといっても、それは無理です。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、早稲田大学を中退後、PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て小説家となって直木賞も受賞した五木寛之さんが書いた、こちらの新刊新書です。
五木寛之『孤独のすすめ 人生後半の生き方』(中公新書ラクレ)
この本は、間もなく85歳になる著者が、以下のような正直な心境で人生を生きているというメッセージを綴った書です。
◆ 孤独を楽しむ
◆ 「前向きに」の呪縛を捨てる
◆ シフトダウンして生きる
この本の冒頭で著者は、高齢化社会でどう生きるかを考えたとき、頭に浮かんだのは、「減速して生きる」というイメージだったそうです。
著者の五木寛之さんが、老いや孤独の中で、シフトダウンして生きるというイメージを描いたときに、神戸で内科を開業されていた五十嵐久雄さん(「播水」という名で俳人として活躍)の晩年の作で、次の句が好きで、春になると思い出す、ということです。
春愁や老医に患者のなき日あり
淡々とおだやかに行く春を惜しんでいる、高齢の医師にとって、寂しいけれども非常に幸せな状態、と著者は想像しています。何となく情景が浮かんでくるようです。
この本は全体を通して、まさにこの句のように、ごく自然に現実を認め、愁いをしみじみと味わう、といったトーンで書かれています。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.はじめに
2.「老い」とは何ですか
3.「下山」の醍醐味
4.老人と回想力
5.「世代」から「階級」へ
6.なぜ不安になるのか
7.まず「気づく」こと
8.おわりに
本書の冒頭で著者は、これからは90歳、100歳まで生きなければならず、50歳は人生の折り返し点と、「諦める」必要があると述べています。
ここで言う「諦める」とは、マイナスの意味ではなく、「明らかに究める」という意味だそうです。「覚悟する」と言ってもいい。
また、「歳を取ることイコール悪」であるかのような風潮もあるが、そんなことはなく、「人生の下山期」だからこそ、見えてくる風景がある、と著者は言います。
ところで、この本では「人生の四つの時期」が、2箇所で紹介されています。最初に出てくるのが、中国で使われてきた、次の「人生の四つの季節」です。
1.青春
2.朱夏
3.白秋
4.玄冬
そしてもうひとつが、古代インドのヒンドゥー教で生まれた人生を以下の「四つの時期」に分ける概念です。
1.学生期
2.家住期
3.林住期
4.遊行期
そうした「四つの時期」に関して、著者は3番目の「林住期」が、50歳から75歳までにあたり、人生100年時代では「人生の黄金期」と言える、と述べています。
さらに本書の後半では、著者が感じている、社会に対する「違和感」や「居心地の悪さ」について触れています。
それは一言で言えば、「嫌老」、すなわち、「若い世代が老人を疎ましく思う気持ち」である、と著者は言います。
この「嫌老感」が昂じると、いずれ若者と老人階級との間の「階級闘争」になりかねない、と著者の五木さんは危機感を繰り返し記しています。
今後、超高齢社会が進む中で、「高齢者の自立」が必要だし、それはアンチエイジングというよりは、ナチュラルエイジングだと、本書では述べられています。
そうした中でとくに大切なのが、死生観の確立です。どのように生きるかは文学や思想で答えを出せますが、どのように「逝く」かは、やはり宗教の力が必要になるからです。
日本では、古くから多神教的な思想で、それで世界に貢献できるのではと、著者は言います。
本書の最後では、「嫌老社会」から「賢老社会」へ、という提言と、「回想」のすすめが記されていて、参考になります。
あなたも本書を読んで、人生後半の生き方を改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を