冬のデンマークは太陽の姿を見ることがほとんどなく、室内で過ごす時間が長くなります。そんな暗くて長い冬の季節を快適に過ごす楽しみとして、「ヒュッゲ(= Hygge)」という演出を解説している本があります。
本日紹介するのは、デンマークのホイスコーレに留学しながら生涯教育、人々の生活に関するフィールドワークをする佐々木勝さんが書いた、こちらの書籍です。
佐々木勝『ヒュッゲの国から デンマーク流人生の楽しみ方』(木の森)
この本は、デンマークに1年半滞在して、生涯教育を体験したり、「世界一幸せな国民と言われているのはなぜなのか」を確かめるべく、教育や福祉事情に関するフィールドワークをしてきた著者の実践をまとめた報告の書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.豊かな自然と民主主義の国
2.デンマークの生涯教育事情
3.福祉国家デンマークの暮らし
4.生涯学べる国の教育制度
5.デンマーク人のゆとり人生から学ぶ
本書の中心は、著者が留学先として過ごした、コペンハーゲンから2時間40分ほど離れたアッセンスという海辺の町にある、人口250人のヘレネスという地区の「フォルケホイスコーレ」です。
「フォルケ(Folk)」とは、デンマーク語で「国民」、「ホイスコーレ(Hojskole)」は、「高等学校」なので、「フォルケホイスコーレ」は、「国民高等学校」ということになります。
学費、食費、寮費込みで、1ヵ月約10万円という格安の費用で学ぶことができる生涯教育の学校が、「フォルケホイスコーレ」です。
そこには、短期コースと長期コースがあり、様々な国から、様々な年齢の多様な人々が学びに集まってきます。年金受給者が学ぶことも多く、仲間を作ったり、人生を考え直す機会として学び直すのが目的です。
デンマークは、消費税が25%と、高負担の国ですが、教育費は小学校から大学卒業まで無償、医療費も無償なので、将来に対する不安が少なく、安心して老後を迎えられる社会です。
日本の場合は、失われた20年以降、将来不安が大きくなり、貧富の格差が拡大していると言われています。少子高齢化が進む中で、金融資産の大半を持つ高齢者が、将来不安のために消費をしない社会になっているのです。
それと、国債発行残高の累増と財政赤字によって、給付を低所得者に限定・制限する社会保障の制度設計になっているため、高所得者に「受益感」がなく、税金負担を避けるマインドになってしまっています。
高所得者から低所得者へ贈与するようなイメージで、すすんで税金を負担をしようというインセンティブが湧かず、且つ、給付を受ける人が肩身の狭い思いをする構造になっています。(生活保護がその典型)
北欧型の高負担・高社会保障の制度にするには、「全国民が受益者」になる制度設計をする必要があります。
私は個人的には、年収1億円、資産100億円の人でも例外なく、保育園・幼稚園から大学院卒業(博士課程)まで、すべての国民の教育費と医療費・介護費を無料にする制度設計がいい、と考えています。
そうすれば、おそらく、子育や老後の不安は一切、なくなって、国民は大いに消費するようになるでしょう。いつ、どこで病院にかかっても費用がゼロなら、ムダ使いをする人はいなくなります。
すぐに「財源はどうするのか」という話になりますが、生活保護をやめて、消費税を20%程度にし、タバコなど健康に悪いものの税金を10倍くらいにし、特定利益団体の補助金をカットするなど、様々な施策によって、おつりが来るほどの財源になるでしょう。
デンマークのような国が、「世界一幸せな国」と言われる意味を、この本を読んで改めて考えさせられました。
また、北欧の国は冬の季節には太陽を見る時間が少なく、家で過ごす時間が長くなることから、「ヒュッゲ」という、キャンドルに明かりを灯して全員で夕食を楽しむ伝統を大切にしています。
あなたも本書を読んで、デンマーク流の人生の楽しみ方を、改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を