書評ブログ

津田倫男 『60歳からの「熟年起業」』 (講談社+アルファ文庫)

090330_1280x1024津田倫男氏は、都銀、米銀、欧州投資銀行に勤務した後、米系ベンチャーキャピタル日本代表を経て独立起業し、企業のM&Aに関する助言・支援を行っている。

本書は、60歳定年退職後に 「熟年起業」 する人が増えている現状を踏まえ、自らの経験をもとに起業する上でのアドバイスを行っている書だ。

自ら 「熟年起業」 の経験者であり、これまで金融機関やベンチャーキャビタルでの仕事を通じて、数多くの企業が成長していく事例をよく知っているため、本書の内容は説得力がある。

著者によれば、「熟年起業」 や 「定年起業」 というのは実は低リスクで、やり直しがきかない分、失敗は許されないものの、仕事の経験、人脈、常識的な判断力など、若い起業家より有利な点も多い。

とくに、好きな仕事、やりがいを感じる仕事で起業した場合は、かなりの確率で上手くいくのだそうだ。大切なのは、事業の目的を明確にすること。ここがブレないことが重要だ。

事業コンセプトを固める上で、以下の4つのポイントを押さえる必要がある。

1.勝負する市場
2.対象顧客
3.競争相手
4.顧客への売り込み方法

本書の最後には起業までの3ヶ月スケジュールや、熟年起業の成功事例や失敗事例が具体的に述べられていて参考になる。

今後の少子高齢化社会で、ますます増加する見込みである定年退職後の 「熟年起業」 だが、本書はその道しるべとして大いに役立つだろう。中高年のビジネスマンにはぜひ読んでほしい一冊だ。