書評ブログ

山口揚平『まだ「会社」にいるの?』(大和書房)

山口揚平氏は、大手コンサルティング会社でM&Aに従事してカネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業した。

 

現在は複数の事業会社を経営するかたわら、講演・執筆活動を精力的に行っている。本書は、会社を辞めて独立起業し、自分の人生を生きようとする人々の背中を押すための書だ。

 

筆者によれば、独立とは 「向き・不向き」 の問題ではなく、誰でもできる単なるスキル・技術そして姿勢の問題に過ぎないという。要はやるかやらないかという問題なのだ。

 

著者が最も大切にしているのは、人生の 「余裕率」 だという。そのためには、スキルを高めることも一つの手だが、期待値を下げる方がいい。どういう精神性でやるかが結果に大きな影響を与える。

 

独立や起業したばかりの人は、感情の波に襲われる。慣れるまで感情のトラッキング(記録)をすることが有効だ。これを「メンタルログ」と言う。

 

また、本書では後半に「人生のバランスシート」という考え方が出てくる。人生のおける資産と負債をしっかりと整理して管理することが大切だという意味だ。著者によれば人生の資産として大事なのは以下の順番ということだ。

 

1.健康・生命力
2.つながり
3.プリンシプル(原則・一貫性・信念)
4.スキル
5.クレジット
6.キャッシュ(お金)

 

お金やスキルが大切だと思いがちだが、実はもっと土台となる重要なものが人生にはあるということだ。名言だと思う。

 

また人生の夫妻としては、不安・欲望や借りがある。独立起業すると、この負債よりも資産が上回り、プラスの純資産があることが必要だ。人間の最大の武器は「習慣」「信頼」なのだ。

 

本書は独立起業を考えている人にはほんとうに心に響く本だ。全ての独立起業を目指す方々に心から推薦したい。