「旧ソ連のGDPは半分だった。中国経済の本当の実力は?」と問いかける書があります。
本日紹介するのは、大蔵省(現・財務省)出身で、内閣参事官も務め、その後フリーのエコノミストとなった高橋洋一さんが書いた、こちらの本です。
高橋洋一『中国GDPの大嘘』(講談社)
この本は、「中国の偽造経済がクラッシュする日はいつか」という問題提起をしている書です。
ソ連が崩壊したのは、その経済停滞が大きな要因だったとし、ソ連を間違った方向に導いたのが偽造統計だった事実と重ね合わせて、現在の中国経済に警鐘を鳴らしています。
実は、ソ連の偽造統計はソ連崩壊まで続けられ、GDPが半分の数字しかなかったことが公表されたのは、崩壊後に関係者が自由に発言できるようになってからだ、と著者は述べています。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.孫子の兵法と偽造統計
2.偽造統計のカラクリ
3.株価暴落の全舞台裏
4.歪みに歪んだ実態経済
5.海外進出-悪夢の末路
6.バブル崩壊の前兆現象
7.偽装国家の崩壊
8.中国の「失われた100年」
この本の前半で著者は、中国株式市場の暴落は、習近平の「経済オンチ」が原因としていて、2015年夏や2016年初の暴落は、株式市場の改革を先送りした結果だ、としています。
また株式市場の動向は、今後の厳しい中国経済の実態を示しているものでもあり、第13次五カ年計画で示されている「2020年までにGNPと一人当たり収入を2010年比倍増させる」という習近平の目標は、中国の現状から見て極めて厳しい状況、ということです。
それを達成するには、「今後5年間は年平均6.5%以上の成長率が最低ラインになる」ということですが、6~7%成長どころか、中国経済の実態はマイナス成長ではないかという声が内外から上がっています。
また、習近平総書記と李克強首相との経済政策をめぐる対立も表面化しています。「克強指数」という言葉がある通り、非公式発言ながら、李克強首相は遼寧省時代から、以下の三つの統計数値しか信用していない、と言います。
◆ 電力消費量
◆ 鉄道貨物輸送量
◆ 銀行融資額
また、李克強首相が推進してきた「都市化計画」という名の不動産バブルは、地方政府の債務を拡大させ、いわゆるシャドウバンキングによる「理財商品」で調達した金額は、30兆人民元(=約510兆円)を超えています。
いずれリーマンショックのようにバブル崩壊となれば、世界の金融危機にもなりかねない規模でしょう。
本書の後半では、中国が抱える世界初の難題について述べられています。それは、一人っ子政策のツケとも言うべき、「豊かになる前に高齢化が始まる」という未曽有の事態です。
先進国は皆、経済成長を終えてから高齢化や人口減少のフェーズを迎え、成熟経済にソフトランディングする道を歩んでいます。
しかし、中国だけは先進国になる前に、まずは「中所得国の罠」(=人件費の上昇と先進国との技術力の差に阻まれ競争力を失う状態)に陥り、さらに高齢化と人口減少に直面しています。
そうした中で中国の富裕層は海外へ脱出をし始め、資金も急激な勢いで国外流出しています。そして「中国はソ連崩壊と同じ道をたどる」と本書では結論づけています。
あなたも本書を読んで、中国経済の今後に何が起こるのかについて、しっかりと予測をしながら対応の準備をしませんか。
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では、今日もハッピーな1日を