書評ブログ

『ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機』

「早ければ2020年中にリーマン・ショックの数十倍の金融危機が訪れる」と述べて、ベンチャー投資や起業支援のための経営指導に携わってきた著者が、政治の世界に転身して、金融のあるべき姿を提唱している本があります。

 

 

本日紹介するのは、1978年愛媛県生まれ、大阪大学工学部卒業後、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の研究員として大阪大学の大学発ベンチャーの設立支援業務に従事、大阪大学歯学部発ベンチャー企業の株式会社アイキャットを設立、代表取締役CEOとして活動、その後退社して、多くのベンチャー企業を支援、現在は転身して政治団体「オリーブの木」を設立して政治活動を行う黒川敦彦さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

黒川敦彦『ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機』(講談社ブラスα新書)

 

 

この本は、「投資会社」に変貌したソフトバンク崩壊の可能性と、リーマンショックの数十倍の金融危機が起こると警鐘を鳴らしている書です。

 

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

 

1.18兆円の借金まみれ、ソフトバンクの抱える爆弾

 

2.農林中金はなぜ危ないか―仕組み債CLOの罠

 

3.ゆうちょマネー100兆円に迫りくる金融危機

 

4.危機の黒幕―渡り鳥金融マンたち

 

5.金融資本と闘うために

 

 

 

この本の冒頭で著者は、ソフトバンク・ビジョンファンドの投資先で、経営危機が露呈したWeWorkの杜撰な経営に加え、インドのユニコーン企業OYO(オヨ)のビジネスモデルに問題があること、さらにUber(ウーバー)の問題点などを指摘し、ソフトバンクグループの経営に疑問を呈しています。

 

 

 

そしてソフトバンクの未来を展望して、以下の経営資源経営者・孫正義のカリスマ性といった強みがどう活かされるのかを勘案したうえで、最悪のシナリオを提示しています。

 

 

◆ 11兆円の時価になるアリババ株

 

◆ 営業利益8000億円を生み出す携帯電話事業

 

◆ M&Aを活用する機敏な意思決定と節税スキーム

 

◆ みずほフィナンシャルグループとのホットライン

 

◆ トランプ大統領をはじめ世界のトップとの人脈

 

 

 

続いて、農林中金ゆうちょという日本を代表する巨大金融機関について、金融危機が起こった場合のインパクトについて、次のリスクを挙げて警鐘を鳴らしています。

 

 

◆ 農林中金のCLO(債務担保証券)保有7兆9000億円のハイリスク

 

◆ 国際決済銀行の出した「ゾンビ企業が急拡大」というレポート

 

◆ 地銀の中で「その他証券投資」への依存が大きい銀行のリスク

 

 

 

◆ ドイツ銀行5,500兆円デリバティブという天文学的リスク

 

◆ トルコCDSという爆弾

 

◆ ゴールドマンサックスの「像狩り」ターゲットは、ゆうちょ銀行、GPIF、ソフトバンク

 

 

 

本書の後半では、危機の黒幕として、渡り鳥金融マンを名指しで紹介しています。

 

 

 

この本の最後で著者は、資本主義の暴走を止めるために、富裕層の金融課税強化や、「ピープルパワー」の大切さを強調しています。

 

 

 

著者が本書で提唱しているのは、行き過ぎたグローバリズムの是正ですが、アメリカをはじめ、それは世界の潮流になりつつあります。

 

 

 

今回の新型コロナウィルス感染症は、もしかしたら世界があまりに繋がることに対する神の警鐘かも知れません。

 

 

 

あなたもこの本を読んで、巨大な金融危機のリスクについて考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!