『MaaS戦記-伊豆に未来の街を創る』

2020.08.25 (火)

「10年後、20年後の東急を支える事業を創れ!」という社長命令によって、MaaS(Mobility as a Service=マース)の意味も知らずに新規部署へ異動した前広報課長が、東急の戦略エリアである伊豆半島の現実と悪戦苦闘しながら創り上げた「未来の街」に向けた実験を描いたビジネス・ドキュメンタリーの本があります。

 

 

本日紹介するのは、1974年神奈川県生まれ、東京大学教養学部人文地理学科を卒業、東京急行電鉄株式会社に入社し、渋谷ヒカリエ内の劇場「東急シアターオーブ」の立ち上げを担当、広報課長を経て、現在は交通インフラ事業部MaaS 担当課長である森田創さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

森田創『MaaS戦記-伊豆に未来の街を創る』(講談社)

 

 

この本は、東急株式会社の前広報課長の著者が、新規事業として「21世紀の産業の交差点」と呼ばれるMaaS(Mobility as a Service=マース)の取り組みを通じて、伊豆半島を負の循環から救い、消滅へのカウントダウンを刻む時計の針を逆回転させる仕事として、日本初の「観光型 MaaS “Izuko”」実証実験を描いたビジネス・ドキュメンタリーです。

 

 

 

本書は以下の24ストーリー構成から成っています。

 

 

1.はじめに

 

2.春の社長室

 

3.舞台の背景

 

4.運命を変えた無料セミナー

 

5.踏み出した第一歩

 

6.「Maasに共通解はない」

 

 

 

7.肌感覚でつかめ

 

8.伊豆の雨と夕陽

 

9.共感と軋轢

 

10.補助金ください!

 

11.大臣とインフルエンザ

 

12.まだ見ぬアプリは Izuko にぞある?

 

 

 

13.フェーズ1開始:4月1日の狂想曲

 

14.ショー・マスト・ゴー・オン

 

15.寝姿山とスマホの壁

 

16.ダウンロードと葛藤の日々

 

17.岩田の涙と伊豆戦略

 

18.さらば、ムーベル

 

 

 

19.伊豆の風になれ

 

20.捲土重来・フェーズ2開始!

 

21.「Izuko = ニッチ」

 

22.Izuko が描く伊豆の未来

 

23.Starting Over

 

24.おわりに

 

 

 

この本の冒頭で著者は、東急が MaaS 事業に取り組み、自らが責任者として推進することになった経緯、および実証実験を東急の戦略エリアである伊豆半島で行うことに決まった流れストーリーとして記しています。

 

 

 

MaaS(Mobility as a Service=マース)は、自動車業界をはじめ、鉄道やバス、タクシーなど交通事業者の将来を決めるキーになる技術でありビジネスコンセプトです。

 

 

 

伊豆半島だけでなく、過疎化と高齢化が進む地方の交通事業者にとって、人手不足や需要の低迷は深刻であり、地域そのもののサスティナビリティが問われています。

 

 

 

AI、5G通信、I o Tなどデジタル技術革新によって、人々の「繋ぎ目のない効率的な移動」を可能とし、キャッシュレス決済ができる「MaaS」は世界の産業界から熱い期待を注がれる夢のプラットフォームであり、北欧のフィンランドを筆頭に、欧州米国では日本に先行して実証実験が始まっています。

 

 

 

東急は、鉄道事業伊豆急行タクシー事業の伊豆急東海タクシー、伊豆今井浜東急ホテル・ホテル伊豆急・下田東急ホテルなどのホテル事業など、伊豆半島グループとして様々な事業を展開する戦略拠点でもあるため、地方創生の起爆剤としても「MaaS」に取り組むことになったそうです。

 

 

 

本書の前半では、プロジェクトチーム以下の4つのプロジェクトが取り組む実証実験の時期と場所が決定するまでの2ヶ月間が描かれています。

 

 

◆ 伊豆半島での観光型 MaaS

 

◆ 沿線型 MaaS

 

◆ 鉄道版インフラドクター

 

◆ 鉄道版フラクタ

 

 

 

この本では主に、伊豆半島での観光型 MaaSを取り上げ、その実証実験に向けての準備と結果ストーリーで記しています。主な記述は以下の通り。

 

 

◆ ドイツ経由フィンランドへの視察出張

 

◆ アプリ開発会社「ムーベル」との出会いと交渉

 

◆ 伊豆 MaaS の4社分科会(東急・JR東日本企画・JR東日本・楽天)の立ち上げ

 

◆ ITS(インテリジェント・トランスポート・システムズ)世界会議でのプレゼンテーション

 

 

 

◆ 地元交通事業者(東海バス、伊豆箱根鉄道など)

 

◆ Maas アプリ「Izuko」の誕生

 

◆ 伊豆における観光型 MaaS 実証実験実行委員会の発足

 

◆「ダウンロード2万件、販売枚数1万枚」の目標発表のプレスリリース

 

 

 

ストーリーの中でとくに印象に残ったのは、独ムーベル社のアプリ開発が遅れたことによる苦戦と、実証実験のフェーズ2延期の経緯です。

 

 

 

また、伊豆半島への旅行者地元住民地元事業者の社員ともに高齢者が多く、「スマホの壁」が予想以上に大きかったことです。

 

 

 

実証実験の第1および第2フェーズの結果は、以下の通りとなりました。第2フェーズの終盤に発生した新型コロナウイルス感染症の影響もあり、販売枚数は目標に届かなかったものの、第2フェーズでの改善により大きな手ごたえと課題が明確になる成果がありました。

 

 

◆ 第1フェーズ(2019年4/1~6/30): 販売枚数 1,045枚

 

◆ 第2フェーズ(2019年12/1~2020年3/10): 販売枚数 5,121枚

 

◆ 合計販売枚数: 6,166枚

 

 

 

私は、2019年夏より、東伊豆に拠点を置いて、YouTube動画の収録撮影や執筆の仕事をし始めたこともあり、本書のストーリー大きな期待感を持って読ませていただきました。

 

 

 

伊豆半島は、この本でも随所で述べられている通り、美しい海と砂浜、温泉、風光明媚な景観、季節に応した食べ物(とくに鮮魚類や野菜・果物)など大きな魅力を持つ素材に溢れた地域です。

 

 

 

新型コロナの影響により、日本でもデジタル化やリモート化が急速に進みつつあり、ITリテラシーも向上していて、観光が再開した直後は、首都圏から近い伊豆は最も最初に需要が戻ってくるエリアになると期待されます。

 

 

 

また、私は個人的には、高齢者が暮らしやすい温暖な気候や豊富な温泉資源があることから、「定年ひとり起業」の聖地として、例えば東急が今後開発を計画している伊豆高原などは、最適地になる予感がしています。

 

 

 

東急の本拠地「渋谷」が、ITベンチャーの聖地「ビットバレー」と呼ばれたように、MaaS が実用化される将来には「伊豆高原」が、定年ひとり起業の聖地「シニアバレー」と言われるようになるかも知れません。

 

 

 

あなたも本書を読んで、伊豆に未来の街を創る「MaaS」挑戦記から、将来のビジネスのヒントを掴んでみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2459日目】

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