書評ブログ

『コロナショックと昭和おじさん社会』

「社会のさまざまな秩序の中でたまっていたひずみが、物理的にも心理的にも噴き出した。パンドラの箱。そう。コロナが『パンドラの箱』を開けたのです。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、千葉大学教育学部卒業後、全日本空輸(ANA)に入社、気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演、その後、東京大学大学院医学系研究科に進学、現在は健康社会学者(ph.D.)として活動する河合薫さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

河合薫『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)

 

 

この本は、コロナ禍で明らかになった「昭和のカタチ」が引き継がれた矛盾について、「雇用のカタチ」「家族のカタチ」「人口構成のカタチ」など様々な問題について考察している書です。

 

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

 

1.コロナ禍がさらした「昭和のツケ」

 

2.終わらない昭和おじさん社会 日本社会の「イメージ」と「現実」

 

3.ここまで深刻化していた「分断の壁」 社旗のひずみはこうして広がった

 

4.若者も中高年も女性も働きづらい理由 日本の会社のしくみは既に無理が来ていた?

 

5.広がり過ぎた格差のゆくえは 昭和モデルからこぼれ落ちるということ

 

6.これから始まる社会のニューノーマル 昭和おじさん社会からの脱却

 

 

 

この本の冒頭で著者は、「突発的な変化は格差を浮き彫りにしてしまう。」と指摘しています。

 

 

 

新型コロナがまさにその変化となっていますが、今後さらに深刻になるであろう格差問題は、健康社会学的には「リソース」の問題ととらえることができる、と著者は言います。

 

 

 

「リソース」は世の中にあまねく存在するストレッサー(ストレスの原因)の回避、処理に役立つもののことで、お金、体力、知力や知識、学歴、住環境、社会的地位、サポートネットワークなどはすべて「リソース」だと言います。

 

 

 

また「リソース」ウェルビーイング(個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態)を高める役目も担っています。

 

 

 

そして、資本主義社会では、カネのある人ほど、さまざまなリソースの獲得が容易になり、「持てる者」は突発的な変化にもすばやく対応できます。例えば、以下の事例の通り。

 

 

◆ 一斉休校のときに真っ先にベビーシッターを利用

 

◆ テレワークにスムーズに移行

 

◆ 子供の学習の遅れにも、家庭教師、個別指導塾、オンライン学習、通信教材などを選択

 

 

 

続いて、社会のひずみとして「分断」の深刻さや、若者も中高年も女性も働きづらい理由について考察しています。主なポイントは以下の通りです。

 

 

◆ 分刻みで働くのに日給7,000円台の訪問介護の現場

 

◆ 失業者ともカウントされないミッシングワーカー

 

◆ 働かないおじさん問題

 

◆ フリーランスのリスクと会社員消滅社会(「働き方の未来2035」)

 

◆ シングルマザーの貧困と消えぬ「世帯主」思想

 

 

 

本書の後半では、広がり過ぎた格差のゆくえと、これから始まる社会の「ニューノーマル」について説明されています。ポイントは以下の通り。

 

 

◆ 見えない状態にある「相対的貧困」

 

◆ 男性は中高年期から貧困リスクが高まる

 

◆ 働き盛り世代の非正規化と最低賃金で働く人の4倍増

 

◆ エッセンシャルワーカーの多くは非正規労働者

 

 

 

◆ コロナで居場所を失った人々

 

◆ 生産性というモノサシからの脱却

 

◆ あえて無駄をつくる

 

◆ 働く人の生きる力とSOC(首尾一貫感覚)

 

 

 

この本の最後で著者は、「ホープ(HOPE)」の力について述べています。これは、「逆境やストレスフルな状況にあっても、明るくたくましく生きていくことを可能にする内的な力」のことで、「共に生きてくれる人」の存在に気づき、他者との質のいい関わりの中で高められる、と著者は解説しています。

 

 

 

あなたも本書を読んで、コロナショックで明らかになった「昭和モデル」をもとに動き続ける日本社会の問題点や今後について、改めて考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2441日目】