「死ぬ直前まで働く社会が始まる!下流老人は過労で死ぬ。」と、危機感を訴えている書があります。
本日紹介するのは、NPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典さんが書いた、こちらの新刊新書です。
藤田孝典『続・下流老人 一億総疲弊社会の到来』(朝日新書)
この本ではまず、団塊の世代のすべてが後期高齢者(75歳以上)に達する2025年には、高齢者人口が3657万人(高齢化率30.3%)になると予測されていることを指摘しています。
そして、日本では高齢期(65歳以上)になっても働き続ける人が増えている、と述べ、政府が提唱する「一億総活躍社会」ではなくて、「死ぬまで働き続けなければ生きられない社会」になるのではないかと警鐘を鳴らしています。
本書は以下の以下の6部構成から成っています。
1.深刻化する下流老人
2.生きるために、働く老後ー死ぬまですり減る、体と心ー
3.誰もが陥る「死ぬまで働く」という生き方ーなぜ、高齢者は働かざるを得ないのかー
4.日本の老後はカネ次第ー不気味な顔をみせる格差社会ー
5.下流老人を救うカネはどこにある?-これから「財源」の話をしよう
6.一億総下流化を防ぐ解決策ー持続可能な未来~子ども世代へー
本書の冒頭で著者は、生活保護よりも少ない年金収入で暮らす高齢者の実態を明らかにしています。
とくに国民年金のみで生活する高齢者は、月額5~6万が最も多く330万人、続いて7~8万が320万人、全体の6~7割の高齢者が月額10万円未満の年金しか受給していない、ということです。
大きな反響を起こした前著『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)でも指摘した、貧困大国化する日本の現状はさらに悪化している、と述べています。
本書の後半では、死ぬまで働き続ける高齢者の理由や実態を、いくつもの具体例をリアルに描くことによって、明らかにしています。
さらに、地方の貧困問題、介護費や医療費の問題、有料老人ホームなどの施設の問題が、この本では具体例に基づいて説明されていて、身近な問題として受け取れます。
本書の締めくくりとして、「一億総下流化」を防ぐ解決策が提言されていて、参考になります。
解決策については、慶應義塾大学教授の井手英策さんが共著にて書いた『分断社会を終わらせる-「だけもが受益者」という財政戦略』(筑摩書房)を参考に展開されています。
池田元首相の「人間の勤労の効率をよくし、生産性を高める」という理念を、井手さんは「勤労国家レジーム」と名付け、経済成長が前提になっているスキームだ、としています。
そして、バブル経済崩壊後は、たまたまアメリカとイギリスで一時的に景気回復に効果のあった新自由主義を採り入れた「小さな政府」では、25年間、ほとんど経済成長がない失敗だったことは明らかだ、と指摘しています。
したがって、今こそ「大きな政府」に舵を切り、消費税増税と、住宅、教育、介護、医療などの最低限、生存に必要なサービスを、「商品」として購入するのではなく、社会が提供する形にすべきだ、ということです。
そうすることで、貧富の別なく、すべての国民が税に対する「受益感」を持つことになる、と提唱しています。また、その財源は消費税の増税(欧州並みに20%程度)によって賄うべきだとしています。
こうした政策は一見、貧困を加速しそうに見えるが、実は「安心」して働ける環境になるために、納税額は増えても万一の時の貯蓄は必要なくなって消費も増える、と主張します。
このように、「全員が受益者」の社会を作ることによって、貧富の格差拡大は緩和され、世代間の不公平感や、所得の多寡による損得感も無くなってくる、と著者は言います。
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では、今日もハッピーな1日を