ドキュメンタリー『定年前起業への道~57歳からの挑戦!』の第29回は、「40代・50代の転職で大切なこと(その2)」です。
≪ 履歴書のポイントは一貫性 ≫
採用されやすい35歳までの人材は、前回述べたとおりですが、どの会社も最も重視するのが「コミュニケーション能力」です。捉えどころがないし、短時間の面接で見抜けないことも多いです。
まして、履歴書や職務経歴書では、いろいろと実績や経験が書いてあったとしても、なかなか「コミュニケーション能力」まで判定するのは難しいのが実情です。
では、いわゆる「書類審査」とは、どのような観点で行っているのでしょうか。①学歴、②サークル活動(運動)、③アルバイトが三大チェックポイントです。
残念ながら、学校の成績やどんな単位を取ったかは見ません。本来、そんなことでいいのか、という議論もありますが、大学の成績ほど当てにならないものはない、というのが企業側の本音です。
企業の人事・採用担当者は、三大チェックポイントを見ることで、何とかして「コミュニケーション能力」の有無を探ろうとするわけです。
そうした採用の現状に対して、有名大学ではない学生が内定を取るための戦略を立てて実践している人の本が、心に響きました。こちらの本です。
太田芳徳『リクルートを辞めたから話せる本当の「就活」の話』(PHPビジネス新書)
この本では、企業が採用したい人材は次の3つの力を持った学生だ、としています。
1.現場で起こっていることに対峙できる問題解決力
2.問題解決を支える論理力
3.実際に行動に移せる自律行動力
私も採用の現場を数多く踏んできて、まったく同感だと実感しています。こうした力をつけるためには、この本では「突き抜ける経験をする」のが最も確実で早いと言います。
著者は一流企業の内定を取るための講座で、「アルバイトの現場で一番になること」を目標として掲げ、PDCAを回すことで諦めずに実行し成果を上げることを求めた。
ここで言う「突き抜ける経験」というのは、私の言葉で言えば、「履歴書や職務経歴書に一貫性がある」ということです。
これまで生きてきた人生で、学校での勉強、クラブ活動、友人関係、運動、アルバイトを通して、一本筋が通っている人は、アピールが企業に届きやすいのです。
まして、履歴書などの「書類審査」では、「一貫性」が読み取れるとインパクトがあります。
≪ 35歳を超える人材はマッチングがすべて ≫
これまで述べてきた35歳までの中途採用や新卒一括採用では、どの企業も「コミュニケーション能力」を始め、殆ど共通する判断軸で採用の成否をきめています。
しかし一方で、35歳を超える中途採用、とくに40代・50代の転職となると、採用は「ポスト」を明確に定めているケースが殆どです。しかも当然、即戦力が求められます。
そうなると、最も大切なので、「企業が求めるポスト、そこでの管理能力・専門性」と、応募者が持っている職務経験や専門スキルがマッチングしているかどうか、が最大のポイントです。
従って、優秀な順に採用されるわけではありません。むしろ、採用される事情は、個別性が高く、意外と人を通じた「コネ」の要素も大きな意味を持ったりします。
そうした中でも、最大公約数的に、40代・50代の転職において、普遍的な「応募者の能力」は、以下の3つでしょう。
1.英語力(=TOEIC )
2.ITリテラシー
3.ファイナンス知識
これは、元マッキンゼー日本支社長の大前研一さんが次の書籍などで提唱しているものです。
大前研一『民の見えざる手-デフレ不況時代の新・国富論』(小学館文庫)
2015年11月1日の定年前起業まで、あと138日です。皆さんの温かい励ましや応援をどうかよろしくお願いいたします。