「定年前と定年後の働き方は、個人の思考ひとつで大きく変わる。」「シニアの働き方の思考法の鍵を握るものは幸福感だ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1964年新潟県生まれ、NEC、GE、ライフサイエンス会社を経て、現在は法政大学大学院政策創造研究科教授、博士(政策学)の石山恒貴さんが書いた、こちらの書籍です。
石山恒貴『定年前と定年後の働き方 サードエイジを生きる思考』(光文社新書)
この本は、シニアの働き方と幸福感の関係を考察し、U字カーブとエイジング・パラドックスという謎こそが、シニアが幸せに働く鍵であることを明らかにしている書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.シニアへの見方を変える ── エイジズムの罠
2.幸福感のU字型カーブとエイジング・パラドックス
3.エイジング・パラドックスの理論をヒントに働き方思考法を考える
4.主体的な職務開発のための考え方── ジョブ・クラフティング
5.組織側のシニアへの取り組み
6.シニア労働者の働き方の選択肢
7.シニアへの越境学習のススメ
8.サードエイジを幸福に生きる
本書の前半では、「シニアへの見方を変える ── エイジズムの罠」「幸福感のU字型カーブとエイジング・パラドックス」および「エイジング・パラドックスの理論をヒントに働き方思考法を考える」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 職場の年齢差別、エイジズムは自分を傷つける
◆ アンコンシャス・バイアスはシニアの働き方に悪影響
◆ シニアの能力は一方的に衰えるものではない
◆ 幸福感は、➀生活評価(サティスファクション)、②感情(ハピネス)、③エウダイモニアの3要素
◆ エウダイモニアは、意義や目的による人生の充実
◆ 生きがいとは、生存充実感
◆ 幸福感は年齢でU字カーブを描く
◆ シニアになり加齢とともに衰えがあるはずなのに、幸福感が高まっていくのが「エイジング・パラドックス」
◆ STTとは、意義ある目的と親密な人との交流を重視すること
◆ SOC理論とは、シニアは喪失するから獲得することができるという考え方
この本の中盤では、「主体的な職務開発のための考え方── ジョブ・クラフティング」「組織側のシニアへの取り組み」および「シニア労働者の働き方の選択肢」について考察しています。主なポイントは次の通り。
◆ ジョブ・クラフティングとは、個人が主体的に職務を再創造すること
◆ 情熱・動機・強みを考えることで、ジョブ・クラフティングは実践できる
◆「自己の成長と専門性の追求」と「全体性」を結びつける
◆ 組織の無意識のエイジズム
◆シニアのワークモチベーションはU字型をたどる
◆ シニアが働きつづける理由はお金が主だが、多様化している
◆ 働き方の選択肢には、フリーランスもある
◆ モザイク型就労が進めば、さらに多様な働き方の組み合わせができる
◆ 副業フリーランスはコロナのリモートワークでさらに広がり
◆ 複業には金銭だけでなく、貢献感・展望感を通じて幸福を感じる
本書の後半では、「シニアへの越境学習のススメ」および「サードエイジを幸福に生きる」について解説しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 越境学習とは、ホームとアウェイを行き来して学ぶこと
◆ アウェイとは、アウェイと感じられる場は全て該当する
◆ シニアとは、サードエイジで幸福感を高める行動と習慣を
◆ 感謝の気持ちを表す、楽観的になる、他人と比較しない
◆ 人間関係を育てる、熱中できる活動を増やす、目標達成に全力を尽くす
◆ 幸福を追い求めない、人生の意味を感じる、親しい人を大切にする
◆「個人事業主マインド」が大切
◆ サードエイジをどう生きたいのか、自ら選択を
本書で提唱している「サードエイジを生きる思考」は、私が5年前から提唱している「トリプルキャリア」で生涯現役・生涯貢献とほとんど同じコンセプトで強く共感しました。
詳しくはぜひ、拙著『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)、『定年ひとり起業』(自由国民社)、『定年ひとり起業マネー編』(同左)、『定年ひとり起業生き方編』(同左)をご覧ください。
この本の締めくくりとして著者は、「筆者も今や、サードエイジの只中にいる。」「自分自身の課題として研究に取り組めることは、幸福なことだ。」と述べています。
貴方も本書を読んで、最新の研究理論と実例から個人と組織の在り方を捉え直し、これからの日本社会に必要な発想である定年前と定年後の働き方を連続させる「サードエイジを生きる思考法」を学び、「幸福感のU字型カーブ」と「エイジング・パラドックス」をキーワードに、自らのサードエイジの生き方を選択してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3143日目】