「私たちは日々起こってくる問題を自分の成長の糧と捉え、楽しみながらチャレンジし乗り越えていったときに、達成感や充実感を感じます。それが私たちの幸せにもつながるのです。」と述べて、定年後の生きがい創造について論じている本があります。
本日紹介するのは、外資系製薬会社で、学術営業、マーケティング、人材開発の仕事に従事、製薬会社勤務時代に仲の良かったドクターの影響でホリスティック医学やスピリチュアリズムの世界に関心を持って、会社派遣でイギリス留学、帰国後は社内研修講師として活躍した後、定年後に研修講師、コンサルタントとして独立し、現在は人材開発・組織開発コンサルタント、株式会社サンクイット バイスプレジデント、社団法人ポジティブイノベーションセンター理事などを務める太田哲二さんが書いた、こちらの書籍です。
太田哲二『定年後からはじまる生きがいの創造~人生100年時代を生き抜くポジティブ心理学の教え』(産業能率大学出版部)
この本は、定年後の人生を輝いて生きるための「生き方のノウハウ」を、ポジティブ心理学や著者の経験をベースに書いたものです。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.定年後から始まるプラチナ時代
2.私たちが地球にやってきた本当の理由
3.ポジティブ心理学を活用してプラチナ時代を幸せに生き抜く
4.パートナーとの良い関係を築く
5.地球という星で機嫌よく生き抜く知恵と処方
この本の冒頭で著者は、「ヒト」は、大還暦といって還暦の2倍の120歳までは生きることが可能だということが、最近の遺伝子研究でわかってきています、と述べています。
そして、スタンフォード大学教授キャロル・ドゥエックの『マインドセット』(草思社)という本で提唱している「しなやか思考」を紹介しています。
定年後には、「人はどんなことに対しても、あきらめずにチャレンジし続ければ、何歳になっても自分のやりたいことを成し遂げることができる」と楽観的に考えることのできる思考法である「しなやか思考」が必要だ、と著者は言います。
さらに、リフレイミング(Reframing)、すなわち物事を捉えている枠組みを外して、違う枠組みで思考しなおすことを提案しています。
本書の前半では、「定年後から始まるプラチナ時代」についてポジティブ心理学の観点から以下のポイントを紹介・説明しています。
◆ 自分らしさ、自分の強みを活かす
◆ 年齢から自由になる
◆ 人と比較することをやめる
◆ 貝原益軒『養生訓』の「人生の幸せは後半にあり。人生は後半の後半にこそ醍醐味がある」(70歳から85歳までに200巻以上の著述)
◆ 伊能忠敬の全国測量による日本地図完成(55歳から71歳まで)
◆ セルフ・コンコーダント・ゴール(自己一致した人生の目的)を定める
◆ シニアならではの「一般結晶性知能」を活かす
この本の中盤では、「私たちが地球にやってきた本当の理由」および「ポジティブ心理学を活用してプラチナ時代を幸せに生き抜く」ことについて考察しています。主なポイントは次の通り。
◆ 時間を延ばす工夫・発明と、生々流転の法則
◆ 自分の存在意義や生まれた意味を問う「トランスパーソナル心理学」
◆ 私たちは永遠に進化しながら転生輪廻を繰り返す
◆ 死とは「この世」から「あの世」への移動
◆ 人に幸せをもたらすウェルビーイング(持続的な幸せ)の研究がポジティブ心理学
◆ セリグマンの提唱するPERMAーV(ポジティブ感情・没頭・人間関係・意味・達成感・バイタリティ)
◆ ポジティブ感情を高める「セイバリング」
◆ 幸せだから成功するという「幸福優位の法則」
またスピリチュアルに関する数々の書籍を紹介しています。とくに興味深いのは、飯田史彦氏による以下の名著です。
本書の後半では、「パートナーとの良い関係を築く」こと、および「地球という星で機嫌よく生き抜く知恵と処方」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 居心地の良い自分の場所を確保する
◆ 仲良し夫婦の法則の第一は「相手を変えようとしない」こと
◆ 甘えをなくす、鈍感力を磨く、相手に過大な期待をしない、ちょうどよい距離を保つ
◆ 挨拶、感謝の言葉、傾聴のスキル、スキンシップ、記念日の活用
◆ 苦しみや困難な出来事が、人を進化・成長させる
◆ 起こっていることはしべて正しい
◆「当たり前と思えること」のありがたさ
◆ いつもご機嫌で
◆ 言葉がすべてをつくる
◆ 生きるために死を想う
◆「本来の世界」で自分のレガシーを振り返る
◆ 人生の後半に「どのような生きがいを持って活動するか」が重要
著者の太田哲二さんがこの本で提唱していることは、私が2冊の著書『定年後不安』(角川新書)および『定年ひとり起業』(自由国民社)にて説いている幸福学をベースとする生涯現役の人生設計と同じコンセプトで深く共感しました。
この本の締め括りとして著者は、終末医療を専門にしていたドクターから聞いた「患者さんが死ぬ前に語った5つの後悔」を以下の通り紹介しています。
1.もっと自分がやりたいことに挑戦すればよかった
2.もっと愛する人に「ありがとう」と伝えればよかった
3.もっと健康に気をつければよかった
4.もっと周りの人や社会に貢献して感謝されることをすべきだった
5.もっと自分に忠実に生きればよかった
あなたも本書を読んで、人生100年時代を生き抜くポジティブ心理学の教えを学び、「定年後からはじまる生きがいの創造」にチャレンジしてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2631日目】