人類史上、未曽有の超少子高齢化を受けて、でもなおかつ、世界第3位のGDPを誇る現在の日本で、「経済格差」よりもある意味コワイのは「知的格差」である、と指摘している本があります。
本日紹介するのは、1961年長野県生まれ、シアトル大学教養学部政治学科および上智大学外国語学部英語学科卒、トロント大学大学院政治学修士課程修了(MA)、博士(国際公共政策、大阪大学)で、現在は関西学院大学国際学部教授の櫻田太造さんが書いた、こちらの書籍です。
櫻田太造『「定年後知的格差」時代の勉強法ー人生100年。大学で学び、講師で稼ぐ』(中公新書ラクレ)
この本は、人生100年時代において、能動的知的生活を送れば、パートナーとの関係円満、少しお金も稼げる、と提唱し、認知症予防のための勉強と知的ライフスタイルを提示している書です。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.まえがきー本当にコワイ定年後知的格差
2.大学(院)は「宝の山」、しゃぶり尽くせ!
3.オンライン授業時代の体系的勉強法
4.学歴ガラパゴス日本! 修士・博士号とは何か?
5.博士までの赤裸々体験ーWhat happened to your Ph.D ?
6.定年前後のマイペース博士号取得術
7.講師業で稼ぐには?ーあなたも非常勤講師やカルチャーセンターの講師になれる
8.セカンドキャリアとしての大学教員ー再就職市場の傾向と対策
9.【実例集】大学教員職等に就いた20人に学ぶ
10.あとがきー知的格差を超えるMASTERキートンの教訓
この本の冒頭で著者は、大学(院)活用に次の3つの追い風が吹いている、と述べています。
◆ 働き方改革
◆ウェブ会議
◆ 少子化による大学(院)定員割れ
いずれ大学院全入時代も到来するのではないか、というのが著者の予測です。強制されない勉強は愉しい、と著者は言います。
続いて本書の前半では【初級編】定年前後こそ大学(院)で学ぼう、として「大学(院)は宝の山」であること、および「オンライン授業時代の体系的勉強法」について述べています。主なポイントは以下の通り。
◆ 体系的勉強はいつでも開始可能
◆ 大学側が優秀な社会人学生を歓迎している
◆ 近くの短大や大学の単位を取る積み上げ型やウェブ授業の活用を
◆ プール、テニスコートなどの学割利用、図書館、担当教員、勉強仲間の活用
◆ ウェブ利用やオンライン授業の増加
◆ レポートを書くための情報収集は論文から、「マクロからミクロへ」の原則
◆ 重要個所に付箋をする
◆ 効率的読書方法、ビブリオバトルの活用
この本の中盤では、【中級編】トップ大学も全入時代!? 修士・博士ガイド、として「学歴ガラパゴス日本」、「博士までの赤裸々体験」および「定年前後のマイペース博士号取得術」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 主要大学院修士課程の入試方法(おトク版)
◆「学歴ロンダリング」こそ国際標準
◆ 週一登校も可能な柔軟性というメリット
◆ 課程博士号とその取得方法
◆ 論文課題を探るための6つの課題
◆ どこの大学院に博士論文になる本を提出するか
◆ 口頭試問の厳しさと愉しさ
◆ 昇給に有利だった博士号
◆ 原稿より健康、マイペースで頑張ろう
◆ 学会に入る、論文を投稿する
◆ テーマがすべて
◆ 博士論文執筆の心得(先行研究評価、情報収集法など)
本書の後半では、【上級編】学びのマネタイズ法、として「講師業で稼ぐ」、「セカンドキャリアとしての大学教員」および「実例集:大学教員職に就いた20人に学ぶ」というテーマで次のポイントを提示しています。
◆ 大学非常勤講師の収入は月3万円(税込)前後
◆ カルチャーセンターなどで教える
◆ 商工会や商工会議所のセミナー講師
◆ 定年前後のキャリアを活かし、ラジオコメンテーター
◆ 専任大学教員市場は約19万人
◆ 今後有望な分野は、実務経験、英語授業、社会福祉、看護、環境、医療
◆ 海外を視野に入れるとチャンスは増える
◆ 企業勤務経験、趣味、資格の活用、ジャーナリスト出身、シンクタンクから転身
この本の締めくくりとして著者は、多くの協力者や支援者とのご縁について感謝を述べています。定年前後からの仕事はご縁が大きくものをいうのは事実でしょう。
新刊拙著『定年ひとり起業』(自由国民社)にて私が提唱している生涯現役の働き方は、まさにご縁に支えられる生き方です。
あなたも本書を読んで、人生100年、「定年後知的格差」時代の勉強法を学び、実践してみませんか。
ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【2561日目】