「世界規模で繰り広げられる経済競争によって、労働者の賃金も社会保障も、最低水準まで落ち込んでいく・・・、それが “ 底辺への競争 ” である。」と説いている本があります。
本日紹介するのは、中央大学文学部教授で、家族社会学を専門とする山田昌弘さんが書いた、こちらの書籍です。
山田昌弘『底辺への競争 格差放置社会ニッポンの末路』(朝日新書)
この本は、2000年にアメリカ経済学者のアラン・トネルソン氏が書いてベストセラーになった『The Race To The Bottom』という論考の日本語訳を借りてタイトル『底辺への競争』とした書です。
アメリカと日本では状況は異なるものの、トネルソン氏が、世界規模で繰り広げられる経済競争によって、労働者の賃金も社会保障も、最低水準まで落ち込んでいく様相を「底辺への競争」と名付けた、と紹介しています。
本書は以下の9部構成から成っています。
1.「底辺への競争」とは何か
2.下流化する中年パラサイト・シングル
3.パラサイト・シングルが発見された時代
4.多様化とリスク化にさらされる若者
5.「格差」にさらされrた最初の世代
6.高止まりする非正規化・未婚化
7.日本以外でも増えるパラサイト・シングル
8.「底辺への競争」の末路
9.脱「底辺への競争」に向けて
この本の冒頭で著者は、日本では1990年代半ばからグローバリゼーションの波が押し寄せ、フリーターや派遣社員など非正規雇用の人たちが増えていくという労働状況の変化が起こりました、と指摘しています。
日本ではまず、「下流化」が起こり、「最低限の生活はできるけれども、いまよりも裕福になること(上昇移動=中流になること)が期待できない状態」が拡がりました。
「下流社会」という言葉は、マーケティング・アナリストの三浦展(あつし)さんが提唱し始めましたが、それと前後して著者の山田昌弘さんは、『パラサイト・シングルの時代』や『希望格差社会』を著しました。
本書で分析の対象にしているのは、「底辺への競争」が始まった、アラフォー世代(本書では1970年~1979年生まれで、38歳~47歳)です。
1990年代に、当時20歳代だった親同居未婚者を「パラサイト・シングル」と呼び、親以上の「リッチな生活」をしていたのが、20年経ってアラフォーになり、生活状況は大きく変わった、と著者は言います。
そして、1990年代から、ライフコースの多様化が始まり、1990年代前半に正社員として就職して家族を持つ団塊ジュニアと、1990年代後半に非正規社員となって結婚できない団塊ジュニアに分かれた、とこの本では分析しています。
さらに、日本は「失われた20年以上」で、経済状況が厳しい時代が続き、未婚化や少子化が加速し、「底辺への競争」でリスク化や格差化が進んでいる、ということです。
また、1975年前後生まれの団塊ジュニアは、現在40歳を超え、このままいくと3人に1人は、配偶者なしで老後を迎えることになる、と著者は指摘しています。
最後に著者は、2040年の日本の姿を予測していて、「家族のいない高齢者」が層として大規模出現し、若者層から現役層、高齢者層に至るまで、経済格差と家族形成格差が一様に存在し、固定化しているような「階級社会」になる、と述べています。
あなたも本書を読んで、「格差放置社会ニッポン」の末路について、真剣に考えてみませんか。
速読法・多読法が身につくレポート 『年間300冊読むビジネス力アップ読書法「17の秘訣」』 を無料で差し上げます。ご請求はこちらをクリックしてください!
https://jun-ohsugi.com/muryou-report
では、今日もハッピーな1日を