経営が時代に取り残されてしまった、という問題意識から、新たな世界観に到達して組織を再生する必要があると説き、時代の変革に合わせた次世代型組織の出現を提示している本があります。
本日紹介するのは、マッキンゼーで10年以上にわたり組織変革プロジェクトに携わった後、エグゼクティブ・アドバイザー、コーチ、ファシリテーターとして独立して、2年半にわたって新しい組織モデルについて世界中の組織の調査を行って執筆をしたフレデリック・ラルーが書いた、こちらの書籍です。
フレデリック・ラルー『ティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)
この本は、人類のパラダイム変化と組織の発達段階を整理し、これからの時代にふさわしい進化した新しい組織の出現について、世界の事例を挙げて解説している書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.歴史と進化
2.進化型組織の構造、慣行、文化
3.進化型(ティール)組織を創造する
この本の冒頭で著者は、以下の7つの人類のパラダイムと組織の発達段階の変遷を整理して提示しています。
◆ 受動的(無色): 血縁関係中心の小集団
◆ 神秘的(マゼンタ): 数百人で構成される部族
◆ 衝動型(レッド): 組織生活の最初の形態、数万人規模へ
◆ 順応型(アンバー): 農業、国家、文明、官僚制
◆ 達成型(オレンジ): 科学技術の発展とイノベーション、効率的で複雑な階層組織
◆ 多元型(グリーン): 多様性と平等と文化を重視するコミュニティ型組織
◆ 進化型(ティール): 変化の激しい時代の生命体型組織、自主経営、全体性(ホールネス)、存在目的
この本では、人類の進化・発展段階を組織に当てはめていて、それはリーダーのあり方を変えることになると説明しています。
進化型(ティール)組織は、マズローの「自己実現の欲求」に相当し、人生は「自分の本当の姿」を明らかにする旅、という捉え方で、この段階まで進んできた人々の多くは、瞑想・集中・武術・ヨガ・自然の中を歩くなどの慣行を通じて静かな場所を見つけ、真実と指針を自分に語りかけてくれる内なる魂の声を耳にする、と著者は言います。
したがって、心理学者たちが指摘するように、「欠点を見る」のではなく、「長所を生かす」というパラダイム変化が起こり、逆境に優雅に対応することができるのです。
また、ほかの人々との関係における全体性(ホールネス)、人生と自然との全体性(ホールネス)という理解が進んでいきます。
続いて、進化型(ティール)組織の構造、慣行、文化が本書では述べられていますが、ポイントは以下の通りです。
◆ 自主経営(セルフマネジメント)
◆ 全体性(ホールネス)
◆ 存在目的
◆ 経営自陣、ミドルマネジメント、上司、ミーティングの不在
◆ 信頼と人間性
◆ 約束、柔軟性、フィードバック
◆ 存在目的と意思決定
◆ 個人の目的と組織の目的
この本の最後で著者は、進化型(ティール)組織の立ち上げ・創造について記しています。
それは「進化型(ティール)社会」を展望することになり、例えば、ゼロ成長、循環型経済、大量消費の見直し、既存産業の再生、これまでとは違う金融システム、グローバル・コミュニティーなどが挙げられています。
本書は、ユニークな仕組みやツールを活用して組織内の透明性を飛躍的に高め、上下関係を撤廃して個々人の主体的な動きを促していく「ホラクラシー」という組織運営手法のバックボーンになる組織論の新しいコンセプトを紹介する書で、ぜひ一読をお薦めします。
変化の激しい現代社会において、組織もまた速い変化を求められています。あなたもこの本から、次世代型組織である「ティール組織」のコンセプトを学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!