書評ブログ

『超長寿化時代の市場地図 多様化するシニアが変えるビジネスの常識』

「今後ますます拡大する65歳以上の層を理解するには、『年齢(エイジ)』ではなく『ステージ』に着目することが大切だ。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、 ハーバード・T・H・チャン公衆衛生大学院博士号を取得。ハーバード・ビジネス・スクールマネジメント・デベロップメント・プログラム参加、2016年にスタンフォード大学DCIフェローに選出され、スタンフォード大学経営大学院の講師であり、同大学のディスティングイッシュト・キャリア・インスティテュート(DCI)にてdciXインパクト・イニシアティブのディレクターを務めるスーザン・ウィルナー・ゴールデンさんが書いた、こちらの書籍です。

 

スーザン・ウィルナー・ゴールデン『超長寿化時代の市場地図 多様化するシニアが変えるビジネスの常識』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 

この本は、長寿社会による影響とビジネスチャンスを再考するための一冊で、長寿世代のニーズを捉えた新ビジネス、新戦略、新たな問題解決を生み出すことによって、カスタマーはもちろん、従業員や地域社会にも、大きな影響を与えることができるようにしたものです。

 

本書は以下の2部構成から成っています。

1.長寿化を理解する

2.ビジネスチャンスと課題

 

この本の冒頭で著者は、「人びとが今以上に安心して尊厳に満ちた長寿を享受できる社会を実現するためにも、本書を通じて、長寿ビジネスのヒントをつかんでほしい。」と述べています。

 

本書の前半では、「寿命から健康寿命へ」「年齢いろいろ、ステージはそれぞれ」および「ステージでマーケティングする」について以下のポイントを説明しています。

◆ 長寿ビジネスでは、「寿命」よりも「健康寿命」を重視し、年齢よりステージで考える

◆ 社会活動、知的活動、身体活動も健康寿命に大いに関係する

◆ エイジング・イン・プレイス(地域で年を重ねること)の支援は重要

◆「教育・仕事・引退」の3ステージで捉えるのは時代遅れ

◆ 米国の消費支出の50%以上、世帯資産の83%が50歳以上に

 

◆ 人生100年時代は引退ではなく、方向転換・再発進・移行・人生の優先順位の再設定

◆ シニアプレナー(オールダープレナー)、サイドプラナーが誕生

◆ 人生は5四半期(5Q)のライフステージ:
  ①スタート期(  0~30歳)
  ②グロース期(25~55歳)
  ③ルネッサンス期(55~85歳)
  ④レガシー期(75~100歳)
  ⑤エクストラ期(100歳以上)

◆ 長寿カスタマーに対するエイジズム的な固定観念を払拭

 

◆ 生涯続く学び(ロングライフ・ラーニング)

◆ 8大ドメイン:①やりがい・生きがい、②経済面での健全性、③モビリティ(移動と交通)、④日常生活とライフスタイル、⑤介護、⑥介護コーディネイト、⑦脳の健康、⑧週末期

◆ 長く働く人材が増えれば、生涯学習は新市場に

◆ 複数のライフステージをまたいで選ばれるような商品・サービスを

 

この本の中盤では、「長寿ビジネスのチャンスを見つけようおよび「カスタマーの実像を見極める」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ どんな企業にも長寿戦略が必要、自社の製品・サービスを長寿社会のステージの観点から再検討する

◆ 年齢ではなく、ステージを使って戦略を策定する

◆ 歳の取り方にも多様性がある、同じ年齢でもニーズやウォンツは千差万別

◆ メリルリンチ:女性投資家と金融リテラシー、金融搾取と高齢者虐待の防止

◆ ナイキ:アスリートであり続ける人

 

◆ ワービーパーカー:累進レンズのアイウェア(眼鏡)

◆ ワイダー・サークル:エイジング・イン・プレイス、社会的孤立

◆ シルバーネストほか:エイジング・イン・プレイス、社会的孤立、交通・モビリティ、遠隔医療、ウェルネス・フィットネス

◆ ケイク:終末期ケアと終活、遺族のサポート

◆ アマヴァ:生涯学習、移行計画

 

◆ 長寿マーケットの消費者は見誤りやすい、購入者とエンドユーザーが別も多い

◆ 購入の意思決定をするのは誰かを考える

◆ 多世代のカスタマーに訴求できないかを考える

◆ 年齢がごちゃ混ぜの多世代チームは、同質的なチームより成果を出せる

 

本書の後半では、「チャネルの課題に取り組む」「起業家のチャンスおよび「長寿化への投資と配当」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 集客プラットフォームを幅広く検討する

◆ 戦略策定では、顧客獲得の課題を忘れずに検討する

◆ 高齢化は社会問題ではなくチャンス

◆ 長寿イノベーションを進める

 

◆ 多世代のカスタマーを開拓し、そこに向けて売る

◆ 加齢に対応した製品の特徴を売りにせず、あくまでステルスで行く

◆ 高齢人材の価値を軽視せず、エイジズムを一掃する

◆ 多世代チームから成る長寿化に対応した組織をつくる

 

この本の締めくくりとして著者は、「高齢化は解決すべき課題だという見方だけでなく、刺激的なチャンスとして捉え直されるようになった。起業の大チャンスでもある。」と述べています。

 

あなたも本書を読んで、超長寿化時代の市場地図を学び、自ら多様なステージに向かって挑戦してみませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3612日目】