書評ブログ

『スマホ時代の哲学 なぜ不安や退屈をスマホで埋めてしまうのか 【増補改訂版】』

「つながっているのに寂しい」― そんな常時接続の世界を生き抜くための哲学書があります。

本日紹介するのは、1990年生まれ、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程を修了し、博士(人間・環境学)の学位を取得。現在は京都市立芸術大学美術学部デザイン科講師を務め、哲学のみならずメディア論や社会学、デザイン教育、さらには企業との協働にも携わる新進気鋭の哲学者である谷川嘉浩(たにがわ・よしひろ)さんが書いたこちらの書籍です。

谷川嘉浩『スマホ時代の哲学 なぜ不安や退屈をスマホで埋めてしまうのか 【増補改訂版】』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

本書は以下の8部構成になっています。

1.はじめに

2.迷うためのフィールドガイド、あるいはゾンビ映画で死なない生き方

3.自分の頭で考えないための哲学――天才たちの問題解決を踏まえて考える力

4.常時接続で失われた〈孤独〉――スマホ時代の哲学

5.孤独と趣味のつくりかた――ネガティヴ・ケイパビリティがもたらす対話

6.ハイテンションと多忙で退屈を忘れようとする社会

7.快楽的なダルさの裂け目から見える退屈は、自分を変えるシグナル

8.おわりに

 

この本の冒頭で著者は、「常時接続の世界に生きる私たちは、スマホから得られるわかりやすい刺激によって不安や退屈、寂しさを埋めようとしている」と述べています。そこに浮かび上がるのは、他者への関心を失い、自分の中に閉じこもってしまう現代人の姿です。

本書の前半では、「迷うためのフィールドガイド」「自分の頭で考えないための哲学」および「常時接続で失われた〈孤独〉」において、スマホ依存が生み出す “思考停止” や “孤独の喪失” が描かれています。主なポイントは以下の通りです。

◆ ゾンビ映画を例に、流されずに“自分で迷う力”を持つことの重要性

◆ 偉大な哲学者たちの問題解決を手がかりに、自分の頭で考える実践法

◆ スマホが奪った“孤独の時間”が、実は思考や創造性の源泉であること

◆ 「常時接続」がもたらす不安や寂しさを見つめ直す重要性

◆ 情報の濁流に呑まれるのではなく、哲学を通じて“自分自身”を取り戻す視点

 

この本の中盤では、「孤独と趣味のつくりかた」および「ハイテンションと多忙で退屈を忘れようとする社会」が展開されます。主なポイントは以下の通りです。

◆ ネガティヴ・ケイパビリティ(不確かさを抱える力)によって孤独を豊かにする

◆ 趣味を通じた“対話”が孤独と向き合う実践の場になる

◆ 社会全体がハイテンションや多忙さで“退屈”を覆い隠している

◆ “退屈”を避けるのではなく、変化のサインとして受け止める視点

◆ 孤独や退屈と折り合うことが、自由で主体的な生き方を可能にする

 

本書の後半では、「快楽的なダルさの裂け目から見える退屈」および「おわりに」を中心に、スマホ時代の哲学的実践へと読者を導きます。主なポイントは以下の通りです。

◆ “ダルさ”をきっかけに、自分の生き方を問い直す哲学的契機

◆ スマホから離れ、自分と向き合う時間をどう確保するかという実践法

◆ “退屈”を新たな自己変革のシグナルとして受け止める重要性

◆ 孤独を回避するのではなく、創造的な資源として活かす視点

◆ 哲学を“未知の大地”として冒険し、常時接続の世界を生き抜く道を探る

 

この本の締めくくりとして著者は、「常時接続の世界で失われた〈孤独〉と向き合うために、哲学という未知の大地をめぐる冒険をここから始めよう」と述べています。

また、本書の巻末には、増補改訂版 限定付録「『スマホ時代の哲学』を実践する人のためのQ&A」および『スマホ時代の哲学』の発酵(解説:ドミニク・チェン氏)が掲載されていて参考になります。

現代を生きるすべての人にとって必読の一冊といえるでしょう。

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では、今日もハッピーな1日を!【3850日目】