「このコロナウイルスの世界への拡散は天災ではない。まちがいなく人災である。」と述べて、中国政府の当初の隠蔽工作と他の諸国へのウイルス侵入許容という、少なくとも二つの人為の錯誤を指摘している本があります。
本日紹介するのは、1963年慶應義塾大学経済学部卒、米国ワシントン大学留学、毎日新聞社会部記者を経て、1987年に産経新聞に移り、ロンドン、ワシントン支局長、初代中国総局長などを歴任、現在は産経新聞ワシントン駐在客員特派員で、麗澤大学特別教授の古森義久さんが書いた、こちらの書籍です。
古森義久『新型コロナウイルスが世界を滅ぼす』(ビジネス社)
この本は、新型コロナウイルスが中国湖北省の省都・武漢で発生し、武漢から中国の他地域、そして諸外国へ伝播していったこと、およびその初期に中国政府が感染の事実を隠し、虚偽の発表までしていたことが感染を飛躍的に広める悪効果をもたらしたことを、著者が滞在する日本とアメリカという二つの実例から論考している書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.すべては武漢から始まった
2.習近平の隠蔽
3.日本へのウイルス大襲撃
4.そして世界は大感染となった
5.ウイルス危機は何を意味するのか
この本の冒頭で著者は、「なぜ中国ウイルスと呼称すべきなのか」と問題提起をしています。
現在、トランプ大統領をはじめ、アメリカ政府高官や米民主党議員までもそろって、感染源となった中国・武漢と、情報を隠蔽したのみながず、虚偽の情報発信をしている中国・習近平総書記の責任を追及する姿勢を強めています。
今回の新型コロナウイルスを、「武漢コロナウイルス」あるいは「中国ウイルス」と呼んで、その責任を明確にすべきとしているアメリカ政府の根拠は以下の通りです。
◆ 1/5時点で、武漢市政府は「人から人への感染は確認されていない」とウソの発表
◆ 1/17時点で、武漢市衛生健康委員会は「1/3以降、新たな感染者は確認していない」と虚偽の発表
◆ 昨年12/1から今年1/20の習近平国家主席による「新型コロナウイルス感染の拡大」宣言までが「隠ぺいの期間」
◆ 1/23の「武漢全域の閉鎖」の直前に、武漢市住民500万人が脱出し、中国内の他地域や海外にウイルスを拡散
◆ 武漢での真の発生源は、華南海鮮市場ではなく、武漢市内の「国立生物安全実験室」からの流出という疑惑
続いて、習近平による情報隠蔽が、感染拡大の決定的な原因になり、それはこれまでの中国にない習近平独裁体制の弊害(格段に強い情報統制)によるものだ、と本書では指摘しています。ポイントは以下の通り。
◆ WHO(世界保健機関)やCDC(アメリカ疾病管理予防センター)の武漢での現地調査を中国が拒否
◆ 米民主党リベラル派も「中国の新型ウイルスの爆発的な拡散は、習近平体制の独裁過剰が原因」と非難
◆ 昨年12/30に、武漢の李文亮医師が、新たなウイルスによる肺炎の広がりをネットで発信したことを違法とする
◆ WHOテドロス事務局長は、1/22-23に、武漢でのウイルス感染症拡大に対して、「緊急事態にあたらない」と表明、「中国政府は十分に適切な対応を取っている」と発言
◆「習近平体制の終わりの始まり」というオースリン論文(米スタンフォード大学フーバー研究所)
◆ 熾烈化する米中対立
この本の中盤では、日本の安倍政権が感染防止対策が遅れたことや、中国・習近平国家主席を4月に国賓として迎える予定だったことが致命的な遅れを招いたことを指摘しています。
本書の後半では、世界での感染拡大の状況および、ウイルス危機が何を意味するのかについて、著者の考察を記しています。ポイントは以下の通り。
◆ 中華人民共和国というリスク(放火犯が消防士のフリをする)
◆ アメリカが中国へ損害賠償を求める
◆ 日本でも「中国は正常な国、普通の国として自由に交流する相手ではない」という認識
◆ 非常事態宣言は社会を変える
◆ グローバル化とサプライチェーンの後退
2020年7月26日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第151回】ジャーナリストが指摘する世界を滅ぼす「新型コロナウイルス」にて紹介しています。
あなたも本書を読んで、新型コロナウイルスが世界に及ぼす影響と、その原因がどこにあるのかを考察してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2388日目】