「日本に今、新しい消費者が増大している。“ シンプル族 ” という名の消費者である。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、パルコに入社後、マーケティング情報誌『アクロス』編集長、三菱総合研究所勤務を経て独立し、消費社会、家族、若者、階層、都市などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している三浦展さんが書いた、こちらの書籍です。
三浦展『シンプル族の反乱』(KKベストセラーズ)
この本は、シンプルな暮らしの魅力に気づいてしまったシンプル族を理解しなければ、もう企業は生き残れない、と警鐘を鳴らしている書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.シンプル族とは何か?
2.シンプル族の価値観とライフスタイル
3.シンプル族の衣食住遊
4.シンプル族がつくる社会
この本の冒頭で著者は、シンプル族の生活原理を簡単にまとめると、以下の3つになると述べています。
◆ 物をあまり消費しない。ためない。
◆ 手仕事を重んじる。
◆ 基本的な生活を愛する。
このような生活原理でシンプル族が物を買わない理由は、次の7つである、と著者の三浦さんは説明しています。
1.すでに生活が豊かであり、物が豊富にあるので、急いで買う必要が内
2.所得が低下しているので、物を買いたくても買えない
3.将来に不安があるので、貯蓄に励み、物を買わない
4.所得が低いから結婚できず、子どもを産まず、家も買わないので、消費全体が減少する
5.インターネットが発達したので、情報だけで満足するようになり、物は買わなくなった
6.環境意識が強まったので、無駄な消費をしなくなった、物を買うことに罪悪感すら感じる
7.社会意識が強まったので、消費よりも他にすべきことに目覚めた
上記の1の理由だけは10年以上前からずっと指摘されてきたが、2番目以下の理由はここ10年間で進んだ傾向だ、とこの本では分析しています。
シンプル族の消費でもっとも特徴的なのが「自動車離れ」です。軽自動車や自転車の人気が上昇していて、団塊ジュニアは上流ほどシンプル志向です。
また、シンプル族の価値観やライフスタイルとして、以下のような特徴を本書では挙げています。
◆ エコ志向
◆ ナチュラル志向
◆ レトロ志向・和志向
◆ オムニボア志向(雑食志向)
◆ ソーシャル・キャピタル志向
◆ ロハス(LOHAS)志向
◆ カルチュラル・クリエイティブス(CC:ロハスなライフスタイルを好む)
◆ ボボス(米国のブルジョア・ボヘミアン)
耳慣れない言葉もあると思いますが、興味ある方はぜひ、具体的な消費する物も本の中で紹介されていますので、ぜひ直接手に取ってお読みください。
この本の中盤以降では、シンプル族の衣・食・住・遊がそれぞれ個別に、詳しく紹介されています。
シンプル族が好きなものを以下に挙げておきます。
◆ ユニクロと無印良品
◆ エコロジーとエコノミー
◆ 地場の物
◆ 雑誌『天然生活』
◆ バックも紙袋
◆ 自然食品
◆ 土鍋や重曹
◆ 100グラム3,000円のコーヒー豆
◆ 自然素材の住まい
◆ ヴィンテージ・マンションをリノベーション
◆ コーポラティブ・ハウス
◆ 人との繋がり、コミュニティー
◆ 中古の家具
◆ 古い町、歴史ある町
◆ テレビは見ない
◆ アウトドアよりインドア
◆ 異文化への関心
◆ 先進国より世界遺産
◆ パワースポットなど神秘的体験
◆ ボランティア・ツアー
以上のようなシンプル族の消費傾向が、いずれ社会システムにも影響して、「共費社会」が生まれる、と著者は予測しています。
「共費社会」の原理とは、私有よりは「シェア」であり、他者とのつながり、協働・共感に価値を置きます。古いものの価値を認め、手仕事を重視、機械文明に依存しない、ということです。
今後の消費動向は、このシンプル族の価値観やライフスタイルにマッチしたものでなければ伸びないでしょう。
あなたも本書を読んで、物を買わない消費者である「シンプル族」の本質を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を