「真実を知り、大切なものを守るには今しかない。あなたの家の食卓が。知らぬ間にすっかり入れ替えられてしまう前に。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、ニューヨーク市立大学国際関係論学科卒、ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号、国連、米野村證券などを経て、現在は国際ジャーナリストの堤未果さんが書いた、こちらの書籍です。
堤未果『ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?』(文春新書)
この本は、個別のフードテックやスマート農業の是非や、安全性の仔細を論じることではなく、「食をめぐる世界市場のその裏で、今一体何が起きているのか?」について、歴史を紐解き、事実を丹念に拾い集め、各国の現場にいる人々の証言と共に、読者が未来を考え、選び取るためのツールを差し出している書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.「人口肉」は地球を救う?
2.フードテックの新潮流
3.土地を奪われる農民たち
4.気候変動の語られない犯人
5.「デジタル農業計画」の裏
6.日本の食の未来を切り拓け
7.世界はまだまだ養える
この本の冒頭で著者は、「人類が誕生して数万年、かつて食の文明史上、これほど大きな岐路に立たされたことが果たしてあっただろうか。」と述べています。
本書の前半では、「人口肉は地球を救う?」および「フードテックの新潮流」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 大手農薬メーカー・モンサント社の除草剤の安全性訴訟、和解金109億ドル
◆ 米アグリビジネスとFDAの癒着
◆ 学校給食に進出する人口肉
◆ 培養肉の大量生産・大量消費の時代が来る
◆ 遺伝子組み換えサーモン
◆ ゲノム編集は自然界の変異と同じか
◆ 各国のゲノム編集の規制緩和レース
◆ 食が「特許」で支配されるディストピア社会
◆ ワクチンレタスの衝撃
この本の中盤では、「土地を奪われる農民たち」「気候変動の語られない犯人」および「デジタル農業計画の裏」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 気候変動と飢餓対策で「化学肥料ファースト」
◆ 60年代「緑の革命」に抜けていた「社会的生産性」と「エネルギー生産性」
◆ 加速する大手IT企業による農地買収
◆ ウクライナでのアグリビジネスの略奪
◆ 飼料の大半を海外に依存する日本の畜産業界
◆ 環境を破壊するのは牛ではなく、その飼い方
◆ 脱炭素なら「牛と牧草のタッグ」が最強
◆ 輪換型放牧で牧草地の土壌が再生
◆ 健康な土の上の動物は感染症にかからない
◆ SDGsに「土壌」という言葉がない
◆ 耕作面積の25%を有機農地にする「みどりの食糧システム戦略」
◆ 土壌微生物の遺伝子を操作して、もっと脱炭素を
◆ 食糧危機と気候変動の問題はテクノロジーで解決
◆ モンサントの「デジタル農業計画」
本書の後半では、「日本の食の未来を切り拓け」および「世界はまだまだ養える」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 食の予防原則でトップランナーになった愛媛県今治市
◆ 地方分権一括法の活用
◆ 土も野菜も子どもたちも菌で育てば皆、元気
◆ 世界一のスーパー土壌を持つ日本
◆ 再生型農業で蘇る土
◆ 安全な給食と小規模農家はコインの表と裏
◆ 食べ物を知る権利を取り戻す
◆ 水田という生命体は日本人の精神の礎
この本の締めくくりとして著者は、「世界的に問題である気候変動の最大の原因が、現代人の食べ方にあり、土壌機能を蘇生させ、自然状態に戻すことが再生の鍵だ」と述べています。
あなたも本書を読んで、食の安全について、時間を取って考えてみませんか。
ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【2994日目】