「創造性とは、生物進化のように“変異と選択”を繰り返すことによって発揮される現象である」― そんな独創的な思考法を体系化した一冊があります。
本日紹介するのは、デザインストラテジストとして社会課題に挑み続けるNOSIGNER代表であり、JIDA(日本インダストリアルデザイン協会)理事長、さらにWDO(世界デザイン機構)理事も務める太刀川英輔(たちかわ・えいすけ)さんが書いたこちらの書籍です。
太刀川英輔『進化思考[増補改訂版]― 生き残るコンセプトをつくる「変異と選択」』(海土の風)
本書は、生物進化における「変異」と「選択」のプロセスをモデルに、人間の創造性を引き出す方法を徹底的に探求しています。偶発的アイデアを量産する「変異≒バカ的思考」と、観察から必然的に導く「選択≒秀才的思考」を往復することで、時代に生き残るコンセプトを生み出す――それが「進化思考」です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.創造とは何か
2.進化と思考の構造
3.変異
1. 変量――極端な量を想像してみよう
2. 擬態――ちがう物や状況を真似よう
3. 消失――標準装備を減らしてみよう
4. 増殖――常識よりも増やしてみよう
5. 移動――新しい場所を探してみよう
6. 交換――違う物に入れ替えてみよう
7. 分離――別々の要素に分けてみよう
8. 逆転――真逆の状況を考えてみよう
9. 融合――意外な物と混ぜ合わせよう
4.選択
1. 解剖――内側の構造と意味を知ろう
2. 歴史――過去の系譜を引き受けよう
3. 生態――外部に繋がる関係を観よう
4. 予測――未来予測を希望に繋げよう
5.創造
6.創造性の進化
この本の冒頭で著者は、「どうすれば人は創造的になれるのか。どうすれば未来の役に立つ創造ができるのか」という根源的な問いを掲げています。
本書の前半では、「創造とは何か」および「進化と思考の構造」について、偶発的な発想を広げるための思考法を解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆「変量」「擬態」「消失」「増殖」「移動」といった視点から常識を揺さぶる
◆「交換」「分離」「逆転」「融合」などの操作で意外性を生む
◆バカ的思考を許容し、膨大なアイデアを生み出すことを重視する
◆多様な進化ワークを通じて発想を鍛えることができる
◆創造性は誰の中にも潜んでおり、変異によって開花する
この本の中盤では、「変異」について観察と必然を導く思考法に焦点を当てて考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆「解剖」で対象を分解し本質を理解する
◆「歴史」を踏まえて系譜に学ぶ
◆「生態」を観察し、関係性の中で意味を見出す
◆「予測」を希望に繋げて未来を描く
◆秀才的思考によって必然的な方向性を選び取る
本書の後半では、「選択」「創造」および「創造の進化」について、変異と選択を往復させた先に生まれる創造の実践が描かれています。主なポイントは以下の通りです。
◆「変異」と「選択」を往復することで創造が進化する
◆偶発性と必然性が結合することでコンセプトが生まれる
◆「自己時空間マップ」など新しい進化ワークが紹介される
◆気候変動プロジェクトや地域活性など実践事例が豊富
◆本質的な願いを具現化することでイノベーションが起きる
この本の締めくくりとして著者は、「創造性は特別な人だけに宿るのではなく、誰の中にも存在する進化的な現象である」と述べています。
数々のプロジェクトを通じて社会課題の解決に挑んできた著者が、生物学の知見を取り入れながら再構築した創造の理論と実践。本書は、個人や組織が未来を切り拓くための “進化する思考法” を手に入れる道しるべとなるでしょう。
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では、今日もハッピーな1日を!【3858日目】