「人を深く理解して、組織運営に活かすことは、あらゆる企業にとって極めて重要だ。」と述べて、これからの経営資源は、ヒト、モノ、カネではなく、「人、人、人」だ、と提唱している本があります。
本日紹介するのは、早稲田大学理工学部卒、同大学院を修了したのち、アクセンチュア株式会社に入社、フロンティア・マネジメント株式会社を経て、2013年に株式会社フライヤーを設立、本の要約をウェブやアプリで提供するサービスを展開している同社代表取締役CEOの大賀康史さんが書いた、こちらの書籍です。
大賀康史『最高の組織-全員の才能を極大化する』(自由国民社)
この本は、既存の多くの組織が持つ課題と、その解決策を体系的に示し、理想の組織を追求する姿勢と、そのための人材採用と育成の考え方を、著者が経営する株式会社フライヤーの例を示しながら提示している書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.あらゆる組織が直面する課題
2.これからの成長組織が向かうべき方向性
3.人材採用と人材育成の心得
4.これからのリーダーシップとは
5.新しい組織論を適用したフライヤーの運営方針
6.社会への提言
この本の冒頭で著者は、既存の多くの会社が取っている「ピラミッド組織」を中心に、そこから派生、進化した以下のような組織を比較して解説しています。
◆ ピラミッド型組織
◆ マトリクス型組織
◆ 文鎮型組織
◆ 絵を描く組織(サークル活動)
◆ ティール組織(進化型組織)
この中で、従来の達成型組織の目標が競争に勝つことであり、イノベーションを追求、実力主義で意思決定がピラミッド組織の上層部でなされるのに対して、進化型組織は、マズローの欲求5段階説の最上位にある「自己実現の欲求」に根差し、次の3つの特徴がある、とその凄さを説明しています。
◆ 自主経営(セルフ・マネジメント)
◆ 全体性(ホールネス)
◆ 存在目的
そして、進化型組織のような「主体性の強い組織」の成立条件として、以下の3点を挙げています。
1.メンバーがお互いを信頼し、大切に思っている
2.全てのメンバーが高い水準でセルフスターターである
3.組織全体のトップに、メンバーが自律的に動いた結果の責任を自身が取るという覚悟があり、それを伝えている
次に、人材採用の基準として、著者が辿り着いた基準として、以下の順番を提言しています。
1.カルチャーフィット
2.ポテンシャル
3.スキル
どうしても中途採用、即戦力としてポジションを埋める採用をする場合、実績やスキルを重視しがちですが、著者の経験では、スキルが多少不足していても、カルチャーフィットとポテンシャルが十分であれば、採用を進めて問題がない、ということです。
続いて、人材育成の心得として、次のポイントを挙げています。
◆ 興味ある分野を見つけ、チャレンジしてもらう
◆ 1日8時間と決めて、高い集中力で生産性を上げてもらう
◆ 自分をストレッチさせ、複業や育児など選択肢を広げてもらう
本書の後半では、ミッションとバリューの重要性を説明したうえで、株式会社フライヤーの運営方針として、以下のミッション、バリューを紹介しています。
◆ ミッション:ヒラメキ溢れる世界をつくる
◆ バリュー:①楽しむ、②スピード、③self-starter、④挑戦、⑤三方良し
この本の最後で著者は、「何かをチャレンジすることのリスクは、実はほとんどない。」と述べています。
チャレンジの結果は成功か失敗かのどちらか、ではなく、成功か教訓を得るかのどちらかである、と著者は言います。
あなたも本書を読んで、「働きやすさと経済合理性の両立」を目指して経営している著者の「最高の組織」の考え方を学び、実践してみませんか。
2020年6月22日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第133回】全員の才能を極大化する「最高の組織」にて紹介しています。
毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!