「寿命を延ばすだけでなく、自立して健康に過ごせる期間である『健康寿命』をいかに延ばすかが課題になっている。『長い老いを豊かに過ごす』ために、健康は大きな手段の一つだからである。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1948年長野県上田市生まれ、北海道大学水産学部卒業、信濃毎日新聞社入社後、報道部、整理部、文化部などを経て、1994年に編集委員、2018年から特別編集委員の飯島裕一さんが書いた、こちらの書籍です。
飯島裕一『老化と寿命の謎』(講談社現代新書)
この本は、2023年1月~2024年4月にかけて、信濃毎日新聞科学面に39回連載した「老化と寿命の謎を探る」と題した企画を一部加筆して書籍化したものです。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.寿命をめぐって
2.なぜ老いるのか
3.健康長寿への道ー加齢関連疾患とつきあう
この本の冒頭で著者は、「加齢に伴い体調不良が生じるのは生きものとして避けられないことであり、『老いとどう向き合うか』も問われている。たとえ病気があっても、見事な人生を送っている人も多い。」と述べています。
本書の前半では、「寿命をめぐって」について以下のポイントを説明しています。
◆ ヒトの最長寿は122歳、哺乳類はホッキョククジラの211歳
◆ 寿命は適応進化の産物
◆ 代謝量が大きいと脈拍がゆっくりで1日は短く寿命が長い
◆ ヒト本来の自然寿命は38歳(DNAのメチル化分析)
この本の中盤では、「なぜ老いるのか」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 老化や病気を引き起こす活性酸素
◆ 加齢で衰えてしまう免疫(自然免疫よりもとくに獲得免疫)
◆ 細胞分裂の回数券・テロメア
◆ 長寿に伴う「老化細胞」の蓄積
◆ 全身に悪影響を及ぼす「慢性炎症」
◆ 代謝と有害物質除去を担うオートファジー
◆ オートファジーのブレーキ因子「ルビコン」
◆ 寿命に関わる長寿遺伝子「サーチュイン」
本書の後半では、「健康長寿への道ー加齢関連疾患とつきあう」ついて紹介・説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 心身が衰えるフレイルは健康と要介護の中間
◆ フレイル予防は、栄養・運動・社会参加が三つの柱
◆ フレイルの中にロコモ(立つ・歩く機能の低下)がある
◆ ロコモの中にサルコペニア(筋肉の衰え)がある
◆ 骨粗しょう症、肩こり、腰痛
◆ 老化は足から、転倒は侮れない
◆ 加齢ともの忘れ、老人性うつ、認知症、 パーキンソン病を予防する
◆ 75歳以上の半数が悩む難聴、早期に補聴器で対処
◆ 高齢女性に多いめまい、眠りをそれほど必要としない高齢者の特性
◆ 歯を失う原因の1位は歯周病
◆ 80代以上はほぼ全員の白内障は手術15~20分
◆ 誤嚥性肺炎を招く嚥下障害
この本の締めくくりとして、磯部泰弘・信濃毎日新聞文化部次長の解説が掲載されています。
あなたも本書を読んで、科学記者が研究の最前線を取材してまとめた「老化と寿命の謎」を学び、「なぜ老いるのか」「なぜ死ぬのか」を改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3470日目】