インターネットやコンピュータを使ったさまざまな情報技術(IT)の革新が進み、今は「第三の産業革命」と言われる中で、生活が一変する私たちはいかに働き、いかに生きるべきか、を考察した書があります。
本日紹介するのは、毎日新聞社出身のジャーナリストであり作家の佐々木俊尚さんが書いた、こちらの書です。
佐々木俊尚『レイヤー化する世界ーテクノロジーとの共犯関係が始まる』(NHK出版新書)
この本は、大きくは以下の3部構成になっています。
1.中世ー多くの民族がともに栄えた帝国の時代
2.近代ー私たちが「国民」になった時代
3.未来ー「場」の上でレイヤー化していく世界
さらに、上記3部構成の中で、以下の10項目のテーマについて論じられています。
1.現代ー第三の産業革命が起きている
2.かつてヨーロッパは辺境の地だった
3.なぜ中世の帝国は滅んだのか
4.「国民」は幻想からやってきた
5.「民主主義」という栄光
6.崩壊していく民主主義と国民国家
7.すべては「場」に呑み込まれる
8.レイヤー化する世界
9.「超国籍企業」が国民国家を終わらせる
10.新しい世界システムと私たち
本書は、中世の帝国の歴史やその後の産業革命による社会への影響をよく整理していて参考になります。
本書の核心は、これまでウチとソトという関係で、ウチの国民国家である先進国が、ソトである植民地(のちに独立した途上国)から富を奪い取ることで成立してきた経済成長が大きく変化している、ということです。
それを引き起こしたのは、情報通信テクノロジーの進化を軸とする「第三の産業革命」およびグローバル化(フラット化)です。先進国は以下の3つの変化に苦しんでいます。
◆ 繁栄から失業へ
◆ 平等から格差へ
◆ 希望から恐れへ
そして、「ウチとソトという関係」が、「レイヤー化する世界」に変化してきています。「レイヤー化」とは、ITの専門用語で、「重ね合わせているもの」という意味です。
レイヤーというのは境界のない世界で、権力も上から独裁者が支配する形でなく、オープンな「場」を提供したものが下から支配する構造に変化していきます。
そうした中で、人と人のつながりが変化し、「超国籍企業」が国民国家を終わらせる、というのが著者の結論です。
本書の執筆にあたり、著者が参考文献として読んだ書籍は200冊を超える、ということです。以下にその一部を紹介しておきます。
あなたも本書を読んで、「第三の産業革命」による大きな世界変化の中で、生き残りのヒントを掴んでみませんか。
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