学校への信頼が低下し、大きな教育改革が進む現代において、様々な教育に対する疑問に答え、「子どもの教育に対する考え方の軸」をつくってもらうために書かれた本があります。
本日紹介するのは、国会議員として教育政策に携わり、46歳の教育実習生として教壇に立ち学校現場に精通している石井としろうさんが書いた、こちらの新刊書籍です。
石井としろう『親が知っておきたい教育の疑問31』(集英社)
この本は、明治維新以降、ほぼ一貫して人口も経済も右肩上がりの成長を続けてきた日本が、明らかに成熟期に突入したこと、同時に情報通信技術の進展やグローバル化の拡がりなど、かつて経験したことのない変化の時代に突入したことにより、世の中の行く先を見越していく教育が大きく変わっていくことを、分かりやすくQ&A方式で解説している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.学校って信頼していいの? 「学校と子育て」
2.変化する社会で、子どもを育てるには? 「社会と子育て」
3.そもそも日本の教育の仕組みって、どうなってるの? 「公教育と私たち」
4.ともに学校をtsくろう。 「みんなで子どもを育てる社会」
この本は、親が知っておきたい教育の疑問を31個に集約して、そのモヤモヤを解消するために解説しているものです。
そもそも教育問題は、誰しもが「原体験」を持っているがゆえに、主観で語られることが多く、様々な発言やその根拠は、ほんの一面の真実でしかない、と著者は言います。
そうした中で本書は、政治の世界、学校の教育現場、民間企業、そして国会と様々な場に身を置いてきた著者が、子どもの教育に向き合うヒントを伝えるために書かれました。
この本の冒頭では、学校に対する信頼が落ちたり、学校の教育力が落ちたりと言われますが、それは学校外の環境が進化しているために、相対的に学校の価値が低下しているのだ、と記されています。
その他、教員の資質や教育委員会の役割、ネットやメディアとの向き合い方、AI時代と子どもの将来、グローバル化における英語力の必要性など、親が疑問に思う教育のテーマについては、本書はほぼ網羅しています。
さらに教育無償化の流れ、公教育の役割、「自分の頭で考える力」、2020年で終了するセンター試験後の大学入試についてなど、今後の重要な議論についても分かりやすく説明されています。
そして興味深いのは、この本の後半で提示されている「一生自分を養っていける力」というコンセプトです。定年後をどう生きるかが分からず、社会や会社が人生を守ってくれない時代になっている、と著者は述べています。
最後に、この本の「おわりに」で紹介されている慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の初代総合政策学部長の故・加藤寛教授が第一期卒業生に向けた言葉と、著者による解説を以下に記しておきます。
「日本の世界も今、真っ暗闇です。これから皆さんは梟(ふくろう)となって、その真っ暗な闇の中で、目を光らせて、そして飛んでいってほしいんです。皆さんが、どんどん飛んでいってくれれば、きっと日本はよくなります。そう私は思っています。そして、疲れたらこのミネルヴァの森に戻ってきてください。」
SFCは、現代の学問発祥の地、アテネを目指して創設されたそうです。アテネをラテン語で「ミネルヴァ」と読み、アテネの守護神はこの女神・ミネルヴァだと言われています。
そのミネルヴァが大恋愛した動物は梟(ふくろう)で、ミネルヴァの森にたくさん住んでいました。その梟たちが、日が暮れて先が見えなくなってくると、その世界の暗闇を一斉に照らし、道筋を示すために飛んでいく。
暗闇(=未知なるもの)に光明を照らす、それが梟であり、知恵の象徴が梟とされています。これがギリシャの学問の発生と言われています。
加藤寛教授は、同スピーチで、こうも述べました。
「一年の計を立てるなら種を蒔けばいいんです。十年の計を立てるなら木を植えればいいんです。百年の計、はかりごと、計画をしようと思うなら、人を育てるしかないんです。」
あなたも本書を読んで、社会が大きく変化しつつある時代に、子どもの教育はいかにあるべきかを学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を