書評ブログ

『ニッポンの国益を問う 海洋資源大国へ』

「日本の海に眠る資源をどう活用するか。それが国益を決定づける時代が来ている」――そんな強い危機感と未来への提言を込めた一冊があります。

本日紹介するのは、東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業後に大蔵省(現・財務省)に入省し、プリンストン大学客員研究員内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)を歴任、小泉内閣・第1次安倍内閣ではブレーンとして政策立案に深く関与し、現在は株式会社政策工房会長・嘉悦大学教授を務める高橋洋一(たかはし・よういち)さんと、早稲田大学商学部卒業後に衆議院議員となり、元国家公安委員長、拉致問題担当大臣、消費者問題担当大臣などを歴任した松原仁(まつばら・じん)さん、さらに学習院大学を経て埼玉大学大学院博士課程修了、経済学博士であり、現在は東海大学海洋学部教授を務める山田吉彦(やまだ・よしひこ)さんの三氏による共著です。

高橋洋一・松原仁・山田吉彦『ニッポンの国益を問う 海洋資源大国へ』(産経新聞出版)

本書は、一般社団法人「日本の国益を実現する会」からの発行であり、縮小均衡の亡国主義から脱却し、日本が「海洋資源大国」として新たな国家像を築くべきだと提言しています。

本書は以下の3部構成から成っています。

1.海洋資源大国ニッポンの国益(松原仁)

2.海洋資源立国への道筋:技術、予算、そして国際環境(山田吉彦)

3.国益の実現と「海洋大国」への財政(高橋洋一)

この本の冒頭で著者は、「日本人の安全と財産を守り、繁栄を次世代に継承する国家の新たなグランドデザインが必要だ」と強調しています。

本書の前半では、「海洋立国日本の国益」について、松原仁氏が次のポイントを訴えています。

◆ 日本が海洋資源大国として新しい国家像を確立すべきである

◆ 広大な排他的経済水域(EEZ)の活用が急務

◆ 国防とエネルギー戦略を結びつけた発想が必要

◆ 官僚主導の事なかれ外交からの転換を迫る

◆ 国民の安全と財産を守る国益中心の政治への転換

 

この本の中盤では、「海洋資源立国への道筋」として、山田吉彦氏が具体的な資源の戦略的価値を詳述しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ EEZ内に眠るメタンハイドレートのエネルギー的可能性

◆ レアアース泥がハイテク産業を支える資源であること

◆ コバルトリッチクラストがバッテリーや特殊合金の原料になる

◆ 資源開発を進めることで日本の国際競争力を高められる

◆ 資源を守るための海洋安全保障体制の構築が不可欠

 

この本の後半では、「海洋大国構想の経済的実現性と国家戦略」として、高橋洋一氏が財政面・経済面からの展望を示しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 海洋資源開発は財政的に十分に実現可能

◆ 経済的利益だけでなく、シーレーンの安全保障にも資する

◆ 資源開発が主権維持の基盤となる

◆ 国家戦略の中核に「海洋大国構想」を据える必要性

◆ 海洋資源活用が日本の長期的繁栄を支える

 

この本の締めくくりとして著者は、「日本の国益を守るとは、資源を活用し、未来世代に繁栄を継承することである」と述べています。

縮小均衡からの脱却を掲げ、日本を「海洋資源大国」として再設計するための指針を示した本書は、政治・経済・安全保障の観点からも必読の一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【3842日目】