「頭ではいけないことと理解していても、その行為を止めることができないとき、私たちはそれを『人間の業』と呼びます。わかりやすくいえば、『わかっちゃいるけどやめられない』というやつです。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1956年大阪市生まれ、『永遠のゼロ』、『海賊と呼ばれた男』、『偽善者たちへ』など多数の著者がある作家の百田尚樹さんが書いた、こちらの書籍です。
百田尚樹『人間の業』(新潮新書)
この本は、人間というのは何と愚かでマヌケで、そして愛らしい生き物であるかがわかるように、自分のことはさておき、世を騒がせた様々な事件を取り上げ、「人間の業」の深さを見ていこうとしている書です。
本書は以下の9部構成から成っています。
1.世に阿呆の種は尽きまじ
2.コロナというバカ発見器
3.図々しいにもほどがある
4.友愛の限界
5.現実は時に想像力の先を行く
6.正義の味方は厄介だ
7.この美しき世界
8.納得いかん
9.渡る世間は反面教師ばかり
この本の冒頭で著者は、「私たちが何気なく使っている『業』は、仏教やバラモン教の『カルマ』に由来する言葉で、本来は『行ない』という意味でしたが、現在は『前世の善悪の行為によって受ける報い』と捉えられ、そこから『理性によって制御することができない心の働き』という意味になっています。」と説明しています。
本書の前半では、「世に阿呆の種は尽きまじ」「コロナというバカ発見器」および「図々しいにもほどがある」について、以下のテーマにて著者の見方を紹介しています。
◆ 大食いチャレンジ失敗
◆ 違法な釣果
◆ 消せない未練
◆ クレームがブーメランに
◆ オンライン全盛に違和感あり
◆ 自粛警察の横暴
◆ マスク警察の暴走
◆ 分身の術、失敗
◆ マンションの穴場
◆ 札幌リベンジャーズ
◆ あまりに卑怯な男
◆ 運動量が多い体育教師
この本の中盤では、「友愛の限界」「現実は時に想像力の先を行く」および「正義の味方は厄介だ」について、著者の見解を説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ パチンコとミサイル
◆ 中国が暴力反対という不思議
◆ 媚中を憂う
◆「猫の日」に怒る
◆ 塀の中の懲りない面々
◆ 酔っていたのは誰なのか
◆ 志がファジーだから
◆ 火葬場の財宝
◆ 特別扱いを求める新聞社
◆ 正義の味方の勝手な言い分
◆ 十九分間の人権侵害
◆ 死刑囚にとっての表現の自由とは
本書の後半では、「この美しき世界」「納得いかん」および「渡る世間は反面教師ばかり」というテーマにて考察しています。主なポイントは次の通り。
◆ 松坂大輔を讃える
◆ 日清の革新性
◆ 利他の精神はどこへ
◆ 大谷翔平の栄誉
◆ 新幹線の無人運転
◆ 髪型の問題
◆ 役人が信用できない
◆ 情けない忖度
◆ 見せかけの節約
◆ 無断駐輪者へのサービス?
◆ 身勝手すぎる働き方改革
◆ バカな条例
この本の締めくくりとして著者は、安倍晋三元首相の暗殺のニュースをゲラチェックの時に聞き、友人の死を深く悼む言葉を記しています。新約聖書によれば、イエスを裏切って官憲に引き渡したユダについて、イエスは「その人は生まれてこない方がよかった」という言葉を残していたそうです。
あなたも本書を読んで、「人間の業」について、改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2882日目】