「デフレは低所得者を増やすことで経済格差を広げる。」と指摘し、「デフレは人の価値も下落させる。」と警鐘を鳴らしている本があります。
本日紹介したいのは、外資系金融機関でエコノミストとして活躍してきた村上尚己さんが書いた、こちらの書籍です。
村上尚己『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』(講談社+α 新書)
この本は、「人口減少でも財政赤字でも一人当たりGDPは1位になる!」という、日本経済の基本認識が変わるような衝撃の内容です。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.イントロダクション-低成長とデフレは必要なのか
2.近未来小説「ゼロ成長の日本」
3.消費者が喜ぶはずの物価下落がなぜ大問題?
4.デフレは「人の価値」も下落させる
5.若者の貧困化を放置する社会
6.「人手不足は悪」報道の正体
7.本当は国の借金はゼロ
8.経済格差を許容する中高年世代の自己満足感
9.バブルから学ばないのは反省し過ぎる人たちだ
10.結び-「緊縮」という病
この本の冒頭で著者は、「日本のデフレの何が異常か」について、モノの価格が上がらないという現象は日本だけで起きているわけではないが、1990年以降、デフレが「20年以上も」定着している先進国は日本だけだ、と指摘しています。
日本人の労働環境や暮らしぶりと、デフレが密接に関わっていて、多くの労働者、とくに子育てなどにお金がかかる若者世代の生活が厳しくなっている、と著者は言います。
現代はサービス経済化が進み、サービス価格は「人の価格」なので、デフレは「人の価値」も下落させる、と本書では説明しています。
つまり、デフレとは、モノの価格下落というより、サービス価格の下落がその本質であり、同時に賃金・給料の下落なのです。
次に著者は、なぜ日本だけでデフレが続くのかについて、金融政策、財政政策という総需要安定化政策が日本において不十分、不適切だったからだ、というのがシンプルで多くの人が納得できる理屈になる、と述べています。
このように、「デフレは人災である」というのが本書の主張で、日本が誇る「おもてなし」も、デフレによる過剰なサービスではないか、と著者の村上さんは説明しています。
この本の中盤では、「若者の草食化」についても、デフレが始まってからの若者の所得水準の低下や貧困という経済的な変化が晩婚化を後押ししたことが「若者の草食化」を強めた、と指摘しています。
日本人の晩婚化には、女性の社会進出(所得の増加)や男女・家族の考え方の多様化など複数の要因が影響していますが、デフレという人災によって若者世代の経済環境が悪化したことが結婚を困難にし、晩婚化が進んでいった可能性を、本書では問題視しています。
そして、次のように指摘しています。
「成長しない、パイが拡大しない経済環境だと、サラリーマンの職場では何が起こるか。売上を増やすという前向きなことよりも、同僚同士の足の引っ張り合いがサラリーマンの自己利益を最大化するケースが多くなるだろう。」
それは「ブラック企業」が社会問題として話題になるほど悪化した、ということです。
この本の後半では、人手不足、国の借金の本質、世代間経済格差、およびバブルの教訓について記されています。詳細についてはぜひ、本書を手に取ってお読みください。
この本の結びには、「緊縮」という病についての考察が述べられています。それは、経済成長への諦めや清貧思想に起因する、マルクスの亡霊とも言える思想信条、論者の「知的怠慢」があることを、著者は、論じています。
あなたも本書を読んで、「日本の正しい未来」について、考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を