書評ブログ

『もっと言ってはいけない』

「この社会は残酷で不愉快な真実に満ちている。」と述べて、知能は遺伝する、精神疾患は遺伝する、犯罪は遺伝する、人種によって知能に格差がある、というタブーを敢えて科学的な見地から説明し、真実を明らかにしている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1959年生まれの作家で、小説『マネーロンダリング』のほか、多くのベストセラーを著している橘玲さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

橘玲『もっと言ってはいけない』(新潮新書)

 

 

この本は、前著『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)の続編として、行動遺伝学の知見をさらに深く応用して考察された不都合な真実を、分かりやすく解説しているものです。

 

 

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

 

1.日本語の読めない大人たち

 

2.「人種と知能」を語る前に述べておくべきいくつかのこと

 

3.一般知能と人種差別

 

4.人種と大陸系統

 

5.国別知能指数の衝撃

 

6.「自己家畜化」という革命

 

7.「置かれた場所」で咲く不幸ーひ弱なラン

 

 

 

この本の議論の前提として著者は、紀元前10万年前の旧石器時代も、紀元前1000年のギリシャ・ローマ時代も、1800年頃の中世ヨーロッパ時代も、ヒト(サピエンス)の所得も平均寿命もほとんど変わっていない、という事実を紹介しています。(経済史家のグレゴリー・クラークの説)

 

 

それが大きく変わったのはイギリスで始まった産業革命以後の200年の間で、所得水準は10~20倍になり、平均寿命は30~35歳だったもの2倍以上に急激に伸びている、ということです。

 

 

これが「知識社会」と呼ばれるもので、それは歴史的には「産業革命以降の世界」、すなわち近代のことになります。

 

 

 

知識社会のもとでは、知能と性格によって、高い所得をもたらす仕事で成功を収められるかどうかが決まる、ということです。

 

 

 

ここからが、著者の言う「不愉快な真実」ですが、知能の遺伝率は約80%性格の遺伝率は約50%で、それは人種によって極端な特徴がある、ということが科学的に証明されています。

 

 

 

心理学では人格の「ビッグ・ファイブ」を以下の通り挙げていますが、「仕事の成果を決める因子」として相関関係は上の因子ほど高いことが分かっています。

 

 

1.真面目さ

 

2.外向性

 

3.精神的安定性

 

4.協調性

 

5.開放性

 

 

 

本書の中には、衝撃的なデータや研究結果がいくつも示されていますが、著者の基本的な立場は「リベラル」で、「普遍的な人権」を尊重する、としています。

 

 

但し、知能を無視して知識社会を語ることはできないし、人種によるあきらかな違いや特徴があり、遺伝によって決まる確率も極めて高いという事実も無視できない、ということです。

 

 

 

衝撃的なデータや研究結果として、次のようなものが紹介されています。

 

 

◆ 黒人と白人のIQ分布(ベルカーブ)

 

◆ 各国別(大陸系別)IQ一覧

 

◆ セロトニン運搬遺伝子の国別比率

 

 

 

そうした中でこの本では、東アジア人の特性、その中での日本人の特性を、「自己家畜化」への進化が進んだ人種ととらえていて、性格的には「真面目さ」に優れ、一方でポジティブな刺激に対しても、ネガティブな刺激に対しても強い感受性を持つ遺伝子に特徴があります。

 

 

例えると、「ひ弱なラン」で、うつ病になりやすい特性があります。それに対して、アメリカ人は「タンポポ」で、ストレスのある環境でもたくましく育って花が咲きます。

 

 

つまり、日本人は厳しい環境でも我慢して働き続ける特性があり、うつ病になりやすいのです。

 

 

『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子著・幻冬舎)『嫌われる勇気』(岸見一郎著・ダイヤモンド社)が日本で大ベストセラーになった理由も、そうした日本人の特性によるものだ、ということです。

 

 

 

また、人種ごとに以下のような「犬種になぞらえる喩え」を紹介して、知能の差異は運動神経の差異と本質的な違いはなく、どうして知能の差異を議論するときだけ「人種差別」になるのかと問題提起しています。

 

 

◆ 白人: ダックスフンド(ある程度、家畜化)

 

◆ アジア系: チワワ(かなり家畜化)

 

◆ アフリカ人: ドーベルマン、シェパード(家畜化されていない)

 

 

 

つまり、人類学的には「家畜化という進化」を経た人種を、「家畜化されていない人種」よりも優秀だとする根拠はありません。

 

 

ただ、ペットでマンションを飼う(産業革命以降の知識が高い所得を得る仕事で成功する)ようになった現代社会では、ドーベルマンよりもチワワやダックスフンドの方が適応度が高い、ということです。

 

 

 

こうした整理をしたうえで著者は、ストレスのある厳しい職場環境の中で我慢して働き続け、多くの人が「うつ病」になってしまう日本人の現状に対して、「置かれた場所で咲く」不幸に警鐘を鳴らし、「ひ弱なラン」は「咲ける場所」に移りなさい、と提唱しています。

 

 

 

この本は、どうすれば幸福度の高い人生を送ることができるかを考えるうえで、示唆に富んだ知見を多く得られるため、有益です。

 

 

 

あなたも本書を読んで、人間社会のタブーを破る「残酷な真実」に目を向け、自分が主役の人生を切り拓いていきませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!