「これから起こる社会の激変は、ビジネスも、行政も、地域社会も、家族の在り方をも根底から変えてしまう。」と述べて、それは「コロナ禍で目の当たりにした社会の変化とは比べものにならないようなスケールであろう。」と提唱し、「未来を見る力」の重要性を解説している本があります。
本日紹介するのは、1963年生まれ、中央大学卒業の作家、ジャーナリストで、人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授の河合雅司さんが書いた、こちらの書籍です。
河合雅司『未来を見る力-人口減少に負けない思考法』(PHP新書)
この本は、これまで『未来の年表』(講談社現代新書)をはじめとする数多くの著書を世に送り出し、人口減少日本で起きることを可視化してきた著者の河合さんが、たくさんの方から寄せられた「どうやって未来を予測すればよいですか」という問いに対する答えを記した書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.はじめに
2.令和の時代はどうなるか-イオンやアマゾンが使えなくなる日
3.こんな考え方はもはや通用しない
4.マーケットの未来を見る力
5.地域の未来を見る力
6.コロナ後を見る力-「変化の時代」というチャンス
7.むすびにかえて-自分の手で未来を変えよう
この本の冒頭で著者は、「令和の時代はどうなるか」と問いかけ、少子化は決して止まらないこと、そしてイオンやアマゾンが使えなくなる日が来るかも知れないと警鐘を鳴らしています。
続いて、これまで常識として私たちが信じてきた、次のような考え方はもはや通用しないと述べています。
◆ 人手不足は外国人、女性、高齢者で解決できる
◆ 人手不足はAIで解決できる
◆ 経営とは拡大を目指すこと
◆ 終身雇用は崩壊しない
◆ 本当に70歳まで働けるのか
とくに最後の「70歳定年」の障壁に関する著者の見解に私もまったく同感で、「70歳現役社会」の実現には、最大の阻害要因として、コンピューターの普及・発達に伴うビジネス現場の構造変化が考えられます。
そもそも一つの企業が同じビジネスモデルでやっていけるのはせいぜい30年くらいで、50年近くも働かなければならない私たちの時代は、「定年」という考え方そのものがなくなっていくだろう、と著者は言います。
こうした現実を総合的に考えるならば、「年齢に関係なく働いてほしい」と思われるような能力やスキルを身に着けることが重要です。
そのために、30歳を超えたあたりから時折、客観的な視点をもって、自分のキャリアを棚卸しして、戦略を立ててみる必要がある、と本書では解説しています。
この本の中盤では、「マーケットの未来を見る力」と「地域の未来を見る力」について考察されています。主なポイントは以下の通り。
◆ 高齢者マーケットでは器や高齢者ニーズへの対応サービスが重要
◆ 若者マーケットでは、特色ある大学、特色ある鉄道沿線というコンセプトが重要
◆ マーケットとの対話で、求められている付加価値の提供ができる商品・サービスを
◆ 自治体の職員不足、自治体の「フルセット主義」見直しを前提とした地方創生モデルを
◆ 固定観念にとらわれないコンパクトシティ
◆ 拠点づくりとコミュニティ構築の重要性
本書の最後で著者は、コロナ後の社会をどう捉え、どのような行動をとればよいかを提示しています。主なポイントは次の通りです。
◆ テレワークがもたらす雇用の流動化
◆ 状況や収入を見える化し、老後生活の備えを考える
◆ マンション居住者が一斉に年を取る「区分所有」のリスク
◆ 人口減少社会に不可欠な「エンパシー」
この中で、「エンパシー」とは、シンパシー(同情)とは違って、「自分も相手の立場に立って、気持ちを分かち合う」という意味です。
またこの本の最後に紹介されている以下の社人研の推計は衝撃的です。
2067年の100歳以上人口は56万5000人に対して、同年の年間出生数は54万6000人ということです。また90代の人口は586万7000人にのぼります。
あなたも本書を読んで、人口減少に負けない思考法として、「未来を見る力」を養い、人生を組み立てていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2472日目】