「見えない中小の世界が広がっているのに、私たちの視野は狭まっており、それらのギャップが様々な問題を起こしている」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1964年神奈川県生まれ、株式会社東芝で技術者として勤務の後、アーンスト&ヤング、ギャップジェミニ等で欧米系コンサルティング経験を経て2012年より株式会社クニエ コンサルティングフェロー、ビジネスコンサルタントで著述家の細谷功さんが書いた、こちらの書籍です。
細谷功『見えないものを見る「抽象の目」「具体の谷」からの脱出』(中公新書ラクレ)
この本は、デジタル技術による「世界の拡大」と「視野の狭小化」という相反する変化に対処する方法を、「具体と抽象」という視点を導入することで提供していこうとしている書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.加速するVUCAの時代と見えない世界の拡大
2.人は見えるものばかりを追いかける
3.「見えないもの」としての抽象
4.抽象化とは線を引くこと
5.見えない抽象の次元
6.視野狭窄と「具体の谷」
7.見えない世界を見るための「無知の知」
この本の冒頭で著者は、「具体と抽象という視点で世の中を眺めると、この世界がどのようにして回っているかが少し見えてきます。」と述べています。
そして、「そうすれば、大方のことは同じようなルールで動いており、たいていのことに関して『次にどうなるか?』が読めるようになり、仕事や日常生活を違う視点で見ることができるようになります。」と続けています。
本書の前半では、「加速するVUCAの時代と見えない世界の拡大」および「人は見えるものばかりを追いかける」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ なぜ「見えないもの」が重要なのか?(Why)
◆ 会社の価値も見えないものへ
◆ モノからコトへ
◆ 広がるメタバースの世界とWEB3
◆ 認知革命という「見えない革命」
◆ 知識と思考の違い
◆ スマホとアプリがもたらした「2つの視野狭窄」
◆ 人がいないところに出すからキラーパスになる
◆「見えるもの」とは過去の投影
この本の中盤では、「見えないものとしての抽象」「抽象化とは線を引くこと」および「見えない抽象の次元」について、次のポイントを解説しています。
◆「言葉」「数」「お金」という抽象化
◆ 集団という抽象化
◆ 抽象化とは2通りに「線を引くこと」
◆ 複数の事象をまとめて1つと扱う
◆ 2つ目の線引きは「つなげる」
◆ 多くの問題は抽象化できる
◆ 具体と抽象が生み出す宿命的な矛盾
◆ 抽象を次元でレベル分けする
◆ 学習も次元を徐々に上げていく
◆ 次元の違いによる世界観(0次元・N次元・無限次元)
本書の後半では、「視野狭窄と具体の谷」および「見えない世界を見るための無知の知」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ そもそも「ありのまま」などない
◆「言葉」そのものが最大のバイアス
◆ 具体抽象ピラミッドと具体の谷との関係
◆「未知の未知」という見えない世界
◆「無知の知」を考えるためのフレームワーク
この本の締めくくりとして著者は、「ビジネスの現場で『具体と抽象の違い』という言葉で表現すれば一言で終わってしまうことを多くの言葉や時間を使って議論し、最期まで共通の合意に至らないという場面をよく目にします。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「具体の谷」から脱出するために、見えないものを見る「抽象の目」を養い、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2941日目】