「最強の経営資源とは何か?それは “ ヒト ” です。」と述べて、「そもそも企業とは “ ヒト ” の集合体であり、 “ ヒト ” の力をどう引き出して “ ヒト ” をどう成長させるかに、企業の命運が懸かっているのです。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、P&Gにてブランドマネージャーとして黄金期を築いた後、P&G世界本社(米国)へ転籍、さらに2010年にUSJに入社して、その再建で実績を上げた森岡毅さんが書いた、こちらの書籍です。
森岡毅『マーケティングとは「組織革命」である。個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド』(日経BP社)
この本は、著者がこれまで培ってきた、「ヒト」の力を活かす「組織」をつくるための本質と、一人のサラリーマンでも「組織」を動かす起点になるための秘訣の2つを伝えるために書かれました。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.組織に熱を込めろ!~ 「ヒト」の力を活かす組織づくりの本質 ~
2.社内マーケティングのススメ ~ 「下」から提案を通す魔法のスキル ~
3.成功者の発想に学べ! ~ 起点となって世の中を変えた先駆者たち ~
この本の冒頭で著者は、「マーケティングには消費者の購買行動を決定的に変える力がある」と述べていて、USJがV字回復した大成功のエッセンス、それは「持続可能なマーケティング力の構築」だと説明しています。
著者の森岡さんにとって「組織」とは、「一人一人の能力を引き上げる装置」で、組織力とは、個人技とシステム(仕組み)の掛け算だと考えているそうです。
そして、ビジネスを行う目的で編成される組織においては、主な機能は次の4つしかない、と著者は解説しています。
1.マーケティング・システム
2.ファイナンス・システム
3.生産マネジメント・システム
4.組織マネジメント・システム
さらに、「部位」ではなく「繋がり」を見ることが必要で、「ボトルネック」を解消する組織づくりが重要だと、著者は言います。
また、市場構造に合わせて自己変革できると、いつの時代も、どのような状況でも、生存できる確率が高い、と著者は述べています。
続いて、人間の脳は、動物の本能として「変化を拒む」ようにできている、人間の本質は「自己保存」である、と本書では指摘しています。
それを打破するには、個人と会社の利害を一致させる「構造的な仕掛け」が必要となります。
具体的には、次のような会議と評価のシステムです。まず森岡式会議は「人を動かす」仕組みとして、次の4つを行います。
1.その会議の目的は何だったのか?
2.そして結論はどうだったのか?
3.結論に至る議論された主な理由は何だったのか?
4.結論に基づき、関係者が次に取るべきアクションの明示(誰府が、何を、いつまでにするのか?)
次に、自己成長を促進する相対評価システムを以下の5つのステップで導入します。
1.「評価基準」の設定
2.「評価プール」と「評価区分」の設定
3.期待値の目合わせ
4.「評価会議」とトラッキング
5.評価に基づく、待遇変更の厳格な実施
この本の中盤以降では、社内マーケティングとして、下から提案を通すスキルについて説明しています。社内マーケティングのフレームワークとして次に5つを挙げています。
1.組織文脈の理解(まずはゲームのルールを理解する)
2.目的(勝つ確率の高い戦いを設定する)
3.WHO(ターゲットは2つある)
4.WHAT(便益も2つそれぞれを明確にする)
5.HOW(言いたいことを相手が聴きたいように話す)
ポイントは、顧客視点だけでなく、意思決定者が何に困っているかを調べること。そして、自分の提案に敏感に反応してくれるであろう「ターゲット」を前もって想定しておくこと。
これを著者は、「勝ち筋」を見つけるターゲット・アナリシスの技術と呼んでいます。
ターゲットの絞り込みの考え方は以下の3つです。
◆ 意思決定者は誰か?
◆ 合意形成の重心になる人は誰か?
◆ 提案を潰せる人がいるとすると誰か?
著者の森岡さんがUSJで成功したハリーポッターへの投資は、以下の勝ち筋を明確に見せる「わらしべ長者戦略」の成果だそうです。
つまり、「コラボや低予算アイデアで稼ぐ⇒新ファミリー・エリアで稼ぐ⇒ハリーポッターで稼ぐ⇒パークの他拠点展開で稼ぐ⇒アジア最大のエンターテイメント・カンパニーになる」という階段です。
さらに、提案に「やりがい」を盛り込み、相手の感情を揺さぶる「真実の迫力」を示すことがポイントだと、この本では解説しています。
続けて、伝え方の技術として、対人コミュニケーションの4分類を説明しています。
1.攻撃型
2.積極型
3.反応型
4.消極型
対話の真理は「押し引き」にあるので、己の感情をコントロールして、4分類のコミュニケーションにそれぞれうまく対処することです。
本書の最後に、以下の4名の起業家と著者との対談が掲載されています。主としてマーケティングと経営に関する対談ですが、自らが起点となって組織を変えた方々、という位置づけで人選されたそうです。
◆ 鈴木敏文(セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)
◆ 秋元康(作詞家)
◆ 佐藤章(湖池屋 社長)
◆ 佐藤可士和(SAMURAI クリエイティブディレクター)
あなたもこの本を読んで、マーケティングの本質と組織革命について学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を