人口減少を避けて通れない現実として捉え、「成長しないけれど貧乏にならない」方策を、具体例を挙げて明るく提示している本があります。
本日紹介するのは、1962年生まれ、劇作家、演出家、劇団「青年団」を主宰する平田オリザさんと、1964年生まれ、地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う、藻谷浩介さんが書いた、こちらの書籍です。
平田オリザ・藻谷浩介『経済成長なき幸福国家論』(毎日新聞出版)
この本は、日本で最も多忙を極め、駒場東大前の近所に住む二人、演芸人・平田オリザさんと経済人・藻谷浩介さんが、経済成長を否定するものでも、成長しないことを悲観するものでもなく、この国の現実を直視し、それに立ち向かうための「下山(人口減少)の時代を逞しく生きる道」を対談・提唱している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.上り坂から下り坂へ、時代の節目を生きる
2.地方の活力に学べ
3.下り坂か、高原か
4.おもしろい生き方ができる、おもしろい国
この本の冒頭で著者は、対談している藻谷浩介さん、平田オリザさんの以下の代表的な著書を紹介しています。
そして課題先進国と言われる日本の問題の現状について、人口1億人を超える大国でこんな急な上り坂と下り坂(人口増加と人口減少)を経験するいまの日本人は人類史上初めてであると、二人とも認識していると述べています。
そうした中で、事実と解決策を分けて考えるという視点で、以下のようなポイントが対談の中で提示されています。
◆ 経済成長は無理
◆ 東京の合計特殊出生率が低いのは、子どもを三人以上産む人が極端に少ないから(産まない人は確実にいる)
◆ 文化は地方分権がいい(ソフトパワーの重要性)
◆ 公務員の先行逃げ切りはない
◆ 岡山県奈義町、兵庫県豊岡市、宮崎県串間市、島根県海士町の活力
◆ 田舎で複数の職業を持つ「複業」(複収入のある田舎暮らし)
◆ 心の豊かさとは「自己決定力」
◆ 日本社会のリセット論
◆ フィンランドの大学教育までの無償化
◆ イノベーションは長期記憶の組合せ
◆ 自己肯定して自己決定する面白さ
◆ 教育と文化は未来への投資
本書の最後で著者は、成功事例、おもしろい人の事例、おもしろいナリワイの事例、幸せに生きている人の事例、幸せそうな自治体の事例を、たくさん「見える化」して、40~50年かけた取り組みとして社会が変革していく、と述べています。
あなたも本書を読んで、経済成長なき幸福な国家について、考察してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2404日目】