データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実から経済学のアプローチで、「家族の幸せ」について考察した本があります。
本日紹介するのは、慶應義塾大学商学部を卒業、同大学大学院商学研究科修士課程修了、アメリカ・ウィスコンシン大学経済学博士を取得後、カナダ・マクマスター大学助教授、准教授を経て、現在は東京大学経済学部・政策評価研究教育センター准教授の山口慎太郎さんが書いた、こちらの書籍です。
山口慎太郎『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(光文社新書)
この本は、結婚・出産・育児(子育て)・離婚などのライフイベントを経済学のアプローチで分析し、「家族の幸せ」について論じている書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.結婚の経済学
2.赤ちゃんの経済学
3.育休の経済学
4.イクメンの経済学
5.保育園の経済学
6.離婚の経済学
この本の冒頭で著者は、「経済学は、人々がなぜ・どのように意思決定し、行動に移すのかについて考える学問ですから、そこで得られた知識を活かすことで、家族の幸せにより近づくことができる」と述べています。
本書では最初に、「家族の始まりは結婚にあり」ということで、結婚とそこにつながる恋愛について考察しています。
人はなぜ結婚するのか、結婚に何を求めているのか、どうやってお互いを結婚相手として選ぶのかといった疑問について、経済学的な説明やデータ分析による裏付けを紹介しています。
次に、出産と赤ちゃんについて、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる頃の環境や出産の方法が、大人になってからの健康状態や知能、所得にまで関わっているという研究の紹介や、母乳育児については、常識として語られている健康面から知能、情緒面の発達などのメリットが実はあまり見られないという研究結果を提示しています。
続いて、育児休業制度でお母さんの働きやすさがどのように変わるのかについて、経済学の理論と先進国の経験に基づいて論じています。
著者の結論は、①1年間の育休は母親就業にプラスの効果、②育休3年制に追加的な効果はなし、③育休は3年もいらない、ということで、「給付金の充実」よりも「保育園の充実」をと提唱しています。
それは、子どもにとって育つ環境はとても重要であるけれど、育児をするのは必ずしもお母さんである必要はない、きちんと訓練を受けた保育士さんであれば、子どもを健やかに育てることができる、という各国の政策評価が根拠になっています。
本書の後半では、お父さんの子育てにスポットライトを当てて経済学的な分析を紹介しています。「イクメン先進国」であるノルウェーの経験から、どうすればお父さんの育児休業取得が進むのかを考えています。
さらに、保育園や幼稚園といった場で行われる幼児教育が、子どもの発達にどんな影響を及ばすのかを見ています。
この本の最後では、離婚と親権の問題について考えています。日本の制度では、夫婦間の合意がない場合には自由に離婚ができるわけではありませんが、こうした法律上の離婚要件を緩めた場合には、家族の幸せにどんな影響があるのか、経済学の研究を紹介しています。
あなたも本書を読んで、「家族の幸せ」の経済学を学び、何が真実で何が「神話」であるのかを明らかにし、どう生きるべきかを考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!