ビジネス書を専門とするプロのブックライターが書いた「文章論」の本があります。
本日紹介するのは、フリーのブックライターで、数多くのベストセラーにも関わってきた上阪徹さんが書いた、こちらの書籍です。
上阪徹『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)
この本は、「著者がどのように文章を書いてきたか」を振り返り、「文章術」や「文章の技術」といった技術論ではなく、「文章を書くうえでの心得」にこだわりがあることを記したものです。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.その文章は誰が読む?
2.伝わる文章はここが違う
3.プロ文章家の心得
4.「話す」よりも「聞く」のが大事
5.プロの取材はこう行う
6.「書く仕事」のキャリア作り
7.「職業文章家」として生きる
本書の冒頭で著者は、「文章の怖さを知っていますか?」と問いかけています。例えば、「もらったメールにカチンと来た」という経験は誰にもあるでしょう。
面と向かって話したり、電話で会話したりすれば、言葉の内容以外のところで、様々なニュアンスや雰囲気を伝えることができます。
声のトーンや大きさ、間の取り方、相手の反応を見ての対応、さらに対面ならば表情やアクションによって、伝えられることは多いのです。
ところが一方的にメッセージを送る文章ではこうはいきません。文章は、ダイレクトにメッセージのみを発信してしまう危険性がある、ということです。
そうした「文章の怖さ」を知った上で、さまざまな「文章を書く心得」や著者の「こだわり」を記したのが、この本の骨子です。
また著者は、リクルートでコピーライターとして仕事をした経験から、「いかに読者に文章を読んでもらうか」がたいへんで、「基本的に人は文章を読まない」と言います。
一般の読者や消費者は、文章を読む義務などないからだ、ということです。確かにそうで、それでも読んでもらうには、文章に魅力がなければなりません。
プロの「もの書き」を目指している私としては、著者のプロとしての「心得」をつねに胸に刻んで文章を書くようにしています。
私は毎日、ブログを更新して、これまでに読んだビジネス書を1冊ずつ採り上げて「書評」の形で公開しています。
書くことは日常になっており、ともすると忘れがちな「心得」を、思い起こすのに、この本は絶大な効果を発揮します。
著者が本書で述べている数々の「心得」やメッセージの中で、私がとくに心に留めていることを以下に紹介します。
◆ 誰に一番伝えたいのか、その人の顔を思い浮かべて書く
◆ 読者はやさしい文章で物事を理解したい
◆ 「何を書くか」のヒントは自分の頭の「中」にはない、「外」にある
◆ 最も注意すべきは「導入」で、最も印象深い内容、気になる内容を盛り込む
◆ とにかく「一気通貫」で読んでもらうことを意識する
◆ 読者の「相場観」をしっかり把握して書く
◆ 読者が知らない意外な言葉やメッセージを発してギャップによる面白さで深く印象に残るようにする
◆ できるだけ行を換えてスペースを増やす
◆ 一文は短く、40字~80字にする
◆ 自分のリズムを意識して「一気通貫」で読んでもらう
◆ 何度も原稿を読み返し、4度目でリズムをチェックする
◆ 書いた後、原稿を寝かせてから冷静になってチェックする
◆ 単語でも接続詞でも主語でも、できるだけ近くでは繰り返さない
◆ 自分で理解したことを、自分の言葉で書く
◆ 具体的な「話」を必ず入れる
本書の中盤では取材の際の聞く「心得」を、後半では職業文章家としての「心得」が記載されていて参考になります。
また、以下の3つの「コラム」が途中に挿入されていて、これも著者の上阪さんの見方・考え方がよく分かり有益です。
1.ライターという職業
2.雑誌記事を作る
3.書籍を作る
あなたも本書を読んで、プロとして「文章を書く心得」を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を