「わたしたち人間はなぜ老化するのでしょう。人の寿命の長さはいったい何によって決まっているのでしょう。」と問いかけ、その問題を解き明かす重要な手がかりが「腎臓にあった」と述べている本があります。
本日紹介するのは、東京大学医学部医学科卒業、国立精神・神経センターでの実験中に突然変異マウスを見つけたことを発端に、余分なリンを腎臓から排出させる老化抑制遺伝子「クロトー」を発見、米テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター助教授、同教授をg経て、現在は自治医科大学分子病態治療研究センター抗加齢医学研究部教授の黒川誠さんが書いた、こちらの書籍です。
黒川誠『腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する』(幻冬舎新書)
この本は、「リンと腎臓の関係性から人間の老化のメカニズムを解明している」著者の研究成果について紹介し、老化のメカニズムや人の寿命の問題を考えている書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.腎臓が寿命を決めていたークロトー遺伝子の発見
2.リンが老化を加速する!ー骨以外の部分にできる「CCP」こそが治療標的
3.慢性腎臓病はリンが原因の早老症である!ー「治せない国民病」を治していくための道筋
4.若々しく長生きするために、いまわたしたちにできることー「リンを減らすこと」は最強のアンチエイジング
5.見えてきた老化を防ぐメカニズムー「体を動かすこと」「食べること」を末永く維持するために
この本の冒頭で著者は、「腎臓やリンの研究を日々一歩一歩進めて来て、いまでは『リン=老化加速物質』ということを確信しています。」と述べています。
本書の前半では、「腎臓が寿命を決めていたークロトー遺伝子の発見」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 腎臓は「ネットワーク管理システム」を構築している
◆ 腎臓の濾過機能は、加齢とともに減少する
◆ クロトー遺伝子は、リン排泄依頼を受け取る「メールBOX」
◆ 腎臓の管理機能を維持することが健康長寿に繋がる
この本の中盤では、「リンが老化を加速する」および「慢性腎臓病はリンが原因の早老症である!」について、解説しています。主なポイントは以下の通り。
◆ リンの役割は骨を維持すること
◆ リンとカルシウムは「いつでも固められる工事用セメント」
◆ 血管石灰化で起こる動脈硬化
◆ 非感染慢性炎症は、がん、動脈硬化、心臓病、脳血管障害、肥満、アルツハイマー型認知症、糖尿病を引き起こす
◆ CCP吸着カラムでCPPを減らす
◆ 腎臓はすべての臓器を管理するパソコンのOSに当たるもの
◆ 尿中リンが多いと、ネフロン数が減少してしまう。
◆ 慢性腎臓病はリンが原因の早老症
◆ 歳を取ったらリンの多い食べ物を取ってはいけない
◆ リンによる腎機能低下や老化加速は、ネフロン数が少ない一般中高齢者に当てはまる
本書の後半では、「若々しく長生きするために、いまわたしたちにできること」および「見えてきた老化を防ぐメカニズム」について考察しています。主なポイントは次の通り。
◆ 人の老化スピードは日々のリン摂取量が影響している
◆ 吸収されにくい有機リンと吸収されやすい無機リンがある
◆ 日本の食は、添加物まみれ&リンまみれ
◆ 添加物の多い食品を避ける
◆ 座位行動時間の長い人は寿命が短い
◆ 体を動かすことが「リンを骨に封じ込めること」
◆ 陸上で生きるのと引き換えに、リン酸カルシウムで骨の強度をキープ
◆ 骨と腎臓が老化を管理している
◆ 最終的に行きつくのは「動くこと」と「食べること」
この本の締めくくりとして著者は、「リンと腎臓が『健康な人生』『良い人生』を送るためのカギ」と述べています。
あなたも本書を読んで、「腎臓は生命を守る臓器」であり、「リンは老化と寿命を左右する物質」であることを学び、老化しにくい生活習慣を実践してみませんか。
ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【2737日目】