「人口減少の加速と長期の低迷によって日本の魅力が消えうせ、『選ばれる国』でなくなってからでは遅すぎる。日本として目指すべき方向性について国民的な議論を行うとともに、政府は方針を明示する必要がある。」と述べて、移民について論じている本があります。
本日紹介するのは、1954年徳島県生まれ、慶應義塾大学法学部卒業、米エバグリーン州立大学公共政策大学院修士、兵庫県庁に勤務した後、公益財団法人日本国際交流センターに転じて、執行理事を務める毛受敏浩さんが書いた、こちらの新刊新書です。
毛受敏浩『人口亡国 移民で生まれ変わるニッポン』(朝日新書)
この本は、「移民ジレンマ」ともいうべき現在の状況がなぜ起こったのか、そしてドイツをはじめ海外の事例を紹介しながら移民ジレンマの脱却についての議論を行っている書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.人口減危機と移民ジレンマ
2.移民政策がなぜタブーとなったか
3.移民を国民はどうとらえているか
4.移民効果を巡る論争
5.外国人を受入れてきた日本の歴史
6.ドイツはこうして移民を受入れた
7.移民と共生するニッポン
この本の冒頭で著者は、日本は重層化する危機に翻弄される中で、「本来、日本の未来に最も大きな影響を与える課題に対しては逆に危機感が薄まっている。」「その危機とは、『人口問題』に他ならない。」と述べています。
本書の前半では、「人口減危機と移民ジレンマ」および「移民政策がなぜタブーとなったか」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 世界の反面教師となった「ジャパニフィケーション」の罠
◆ 日本は「戦争ができない国」に
◆ 人口減少ランキング9位の日本、東欧のように若者の海外流出も
◆ 新人口政策(PX)の必要性
◆ 移民政策がタブーとなったのは尖閣・徴用工問題による日中・日韓関係の悪化
◆ ヘイトスピーチ、外国人の地方参政権問題、ヨーロッパ移民問題の影響
◆「選択する未来」委員会に人口学者がいなかった不幸
◆ 失敗した地方創生と「1億人維持」から「1億総活躍」への衣替え
◆ 移民を受入れてきた「多文化共生」という日本の歴史と土壌
この本の中盤では、「移民を国民はどうとらえているか」「移民効果を巡る論争」および「外国人を受入れてきた日本の歴史」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 世論調査では以前から「移民賛成」が多数
◆ 熟練や高年収労働者、教育水準が高い人、外国人の知り合いがいる人、保守イデオロギーが強くない人は、移民に肯定的
◆ 移民よりまずはロボットという風潮
◆ ムスリムによる「西洋の自死」
本書の後半では、「ドイツはこうして移民を受入れた」および「移民と共生するニッポン」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ ドイツは、2004年の移民法成立で移民政策に舵を切る
◆ 2015年難問問題とAfD党の台頭
◆ 移民とはムスリムのこと
◆ 移民委員会の発足と終わりのない改革
◆ 日本政府も定住を前提とした外国人材の受入れへ
◆ 在留外国人の困窮と日本語能力問題
◆ 魅力のはげた円安国に
◆ 2020年代が日本にとっての正念場
この本の締めくくりとして著者は、「まさに今、日本の外国人受入れは大きな転換点を迎えている。」「忘れてはならないのは、従来から日本に住んでいる300万人を超える在留外国人の存在だ。」と述べています。
あなたも本書を読んで、急速な人口減少、高齢化、経済の長期低迷に悩む日本において、「外国人受入れが日本の希望だ」とする著者が提示する多面的な切り口から学び、「移民のあり方」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3172日目】