コロナ禍をきっかけに再び沸き立つ田舎暮らしについて、「田舎暮らしのもう一つの現実をよくよく承知してからの決断をお勧めする。」と提案している本があります。
本日紹介するのは、親子三代にわたり、日本全国から世界各地を訪ね歩き、生活史の聞き取りを続け、地域社会を理解した上での移住相談にも乗っている柴田剛さんが書いた、こちらの新刊新書です。
柴田剛『地獄の田舎暮らし』(ポプラ新書)
この本は、テレワーク・リモートワークを導入する会社の増加などから、ブームとも言える移住が活況を呈している中で、移住に後悔しないために、安易な移住へ憧れを持つ人たちに警鐘を鳴らし、正しい知識を与えるために書かれた書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.安易に移住ブームに乗っかると地獄を見る
2.地域・物件選びで見る地獄
3.生活費で見る地獄
4.人間関係に見る地獄
5.それでも田舎に住みたい人へ
この本の冒頭で著者は、コロナ移住のコア層は30~40代で首都圏出身者が多い、と述べています。
そして近年の移住は東日本大震災による沿海部での悲劇の記憶が強いため、内陸部の山の物件がブームです。
しかしながら、「移住すれども定住せず」というのが各自治体の悩みであり、その理由は「住みやすくないこと」です。「豊かな自然」「ストレスが減る」「生活費が安い」「憧れの戸建て」という甘い言葉に騙されるな、と著者は言います。
ブームの中での移住の問題点として、以下の要因が考えられる、と著者は分析しています。
◆ 移住者同士のマウンティング
◆ 寄生別荘問題(管理費を負担しない別荘敷地内の私有地別荘のタダ乗り)
◆ 目の前の景観が一変する恐怖
◆ 高齢・一人暮らし移住者の「限界生活者化」
続いて、地域・物件選びにおける移住の問題として、次のポイントを挙げています。
◆ 別荘の南側に太陽光パネルという落とし穴
◆ 南向きには木をすべて伐採せず、ある程度残すこと
◆ 売れ残っている物件には理由がある、移住サイトではわからない
本書の中盤には、生活費や人間関係における移住の問題について具体例を挙げて解説しています。ポイントは次の通り、
◆ 生活コスト(プロパンガス代、健康保険料など)が意外と高い
◆ 移住先では収入が限られる
◆ 人間関係が物価を引き上げる(地元の高いものを購入)
◆ 退去コストが盲点に
◆ 管理費を払ってでも別荘地に住め
◆ 移住者同士の争い
◆ 最後は田舎では死ねない
◆ 地元民と「同じこと」「変わらないこと」がよいこと
この本の最後で著者は、「それでも田舎に住みたい人」へ向けて、田舎移住のためのノウハウを提示しています。「後悔しない移住」のポイントは以下の通りです。
◆ 景観が固定した土地と立地を買う
◆ 自分のことは訊かれたことだけを5割引きで話す
◆ 都会に自宅がある人は絶対手放すな、戻りたいとき、戻る瞬間が必ず訪れる
◆ わずかでも必ず副業を持て
◆ お勧めはリノベ物件を自分流にアレンジ
◆ 物件探しは秋から
◆ 木を伐るのはひと冬待て
◆ 地元とのしがらみが強くなったら次の移住地を探せ
◆ おすすめはコミュニティ移住
◆ 田舎暮らしの終い方を考える
あなたも本書を読んで、「9割の田舎移住は終わりの始まり?」という実態の一面を学び、「地獄の田舎暮らし」にならない移住を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2514日目】