「画一化された街で、商品化された暮らしをひたすら追い求めてきた日本人は今一度、足を止めて周りをよく見ることだ。これまでの軌跡と未来を見つめ直すときが来ている。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、東京大学経済学部卒、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、BCGを経て三井不動産に勤務、J-REAT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立、現在はオラガ総研株式会社代表取締役として、ホテルなどの不動産プロデュース業を展開、全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立し代表取締役を兼務している牧野知弘さんが書いた、こちらの書籍です。
牧野知弘『家が買えない 高齢化する住まい 商品化する暮らし』(ハヤカワ新書)
この本は、社会インフラである「不動産」と、我々が住む、働く、遊ぶ、憩う場である「街」に焦点を当て、新たな街の在り方と、そこに生きる私たちの生きざまについて考えている本です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.買えなくなる家 増え続ける空き家
2.移りゆく日本人の「マイホーム」事情
3.住まいと街づくりに「地域価値」の発想を
この本の冒頭で著者は、「これまで信奉していた価値観だって必ず変わっていくのだ。これまではあたりまえとされてきたステレオタイプな日常が永遠に続くことは、現実の社会では決してない。」と述べています。
本書の前半では、「価格高騰の裏で進む街の二極化現象」「金融商品化する都心マンション」および「負動産化する郊外住宅」について以下のポイントを説明しています。
◆ 地方でも進む街の二極化現象
◆ タワマンは「金融商品」である
◆ 株式にはないマンション投資のリスクは、取引に時間がかかること
◆ 人口動態から見て避けられない「2025年問題」
この本の中盤では、「通勤距離という住宅選びの価値尺度」「オールドタウン化するニュータウン」および「一代限りで終わるマイホームの宿命」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ サラリーマン社会が生んだ「通勤時間」ファーストな価値観
◆ 住民が一斉に高齢化して今やオールドタウンになったニュータウン
◆ コメダ珈琲はオールドタウンに咲く最後の花になる可能性も
◆ マンションの資産性は「立地」にしか求められない
◆「地歴がない」というニュータウンとタワマンの共通点
本書の後半では、「不動産業者による都市開発のリアル」「ジェネリック都市に陥らない街づくり」および「あなたが住むべき街に相場はない」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 縦に稼ぐ発想では街の価値は生まれない
◆ 市街地再開発にともなう街のコモディティ化
◆ 三世代が暮らす街は良い街である証
◆ これからの地価は「土地価格」から「地域価格」へ
◆ 意味のない「新築信仰」を捨てる
◆ 二拠点生活をする人の増加
◆ 二拠点生活の流れは、多拠点生活へとつながる
◆ 住みたい街は住民の協創から生まれる
この本の締めくくりとして著者は、「街は変わる。そしてそこに住む人、働く人も時代の進展とともに変わっていく。変わった先にある街が、新たな未来を奏でるようになるにはどうすればよいのか。悲観することはない。地価(地域価値)を上げる方法はいくらでもあるのだから。」と述べています。
あなたも本書を読んで、自分が暮らす街や住まいの未来について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3607日目】