書評ブログ

『人は、こんなことで死んでしまうのか!』

「死は、いつも思いがけない日常の中に潜んでいる」――そんな現実を静かに、しかし圧倒的な説得力で突きつける一冊があります。

本日紹介するのは、1929年茨城県生まれ、東邦医科大学卒業後、日本大学医学部法医学教室を経て、1959年に東京都監察医務院監察医となり、1984年には同院長に就任。退官後に執筆した『死体は語る』が65万部を超えるベストセラーとなり、「死を語る法医学者」として一躍注目を集めた上野正彦(うえの・まさひこ)さんが書いた、こちらの書籍です。

上野正彦『人は、こんなことで死んでしまうのか!』(知的生きかた文庫)

この本は、“死” を恐怖やタブーではなく、“命を守るための知識” として描いている書で、冷静な分析と温かいまなざしが交錯し、「死を知ることが、生を大切にする第一歩である」というメッセージが胸に響きます。

本書は以下の4部構成から成っています。

1.日常にひそむ死の危険

2.生と死の境界線

3.意外な死の真相

4.死の医学

この本の冒頭で著者は、「本書は、死のメカニズムに焦点を合わせて書いたので、これまでとは違った視点で、さらなる理解と興味を持って読んでいただければ幸いである。」と述べています。


本書の前半では、「日常にひそむ死の危険」「生と死の境界線」をテーマに、思いもよらない “死のトリガー” を科学的に解き明かします。主なポイントは以下の通りです。

◆ 「笑い死に」「カラオケ死」など、身近な行動が命取りになる理由

◆ 体温や血圧など“限界値”を超えると人はどうなるのか

◆ 凍死者が裸で発見される「パラドキシカル・アンダーレス」の謎

◆ 泳げる人が溺死するメカニズムと“過信の落とし穴”

◆ “ニオイで死ぬ”のは本当か?――化学的要因が引き起こす致死反応


この本の中盤では、「意外な死の真相」を通して、“死因の裏側” にある人間の行動と心理を読み解きます。主なポイントは次の通りです。

◆「絞殺」と「首つり」を見分けるプロの視点

◆ 一見“自然死”に見えても、実は事故や他殺であるケースの真実

◆ ゴルフ場や入浴中など、特定の場所で死が多い理由

◆ 医療現場では語られない「死に至るプロセス」のリアル

◆ “死体が語る”ことで初めて明らかになる社会の闇


本書の後半では、「死の医学」として、死のメカニズムを科学的に説明しつつ、生きるために私たちができることを提示します。主なポイントは以下の通りです。

◆ 人体が“死”へと至る生理的プロセスを理解することの重要性

◆ 医学的限界と人間の精神的回復力の相関

◆ 「知っていれば死なずに済んだ」事例が教える危機管理の教訓

◆ 監察医としての経験が導いた “生を尊ぶ視点”

◆ 「死を知ること」が「生を深く生きること」につながるという真理


普段の生活の中で、私たちはどれほど “危うい境界線” の上を歩いているのか――。
この一冊は、死を通して「どう生きるべきか」を深く考えさせてくれる、まさに “生の教科書” です。


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では、今日もハッピーな1日を!【3889日目】